女性のメンタルヘルスについて(その2) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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女性のメンタルヘルスについて

Ⅱ.周産期における向精神薬による精神科薬物療法

(1)妊娠中の精神科薬物療法

この期間の精神科薬物療法は、胎児や母乳栄養児への影響を考慮に入れます。妊娠期の精神科薬物療法が胎児に与える影響には、染色体の突然変異、胎児死亡、催奇形性、子宮内での発育遅滞、早産の惹起、新生児の中毒状態、新生児の薬物依存症状などがあります。妊娠初期には胎児の催奇形性の危険性は増加しますが、母親(母胎)の精神症状が顕著な場合、抗不安薬、抗うつ薬および抗精神病薬などを十分量用いた治療を続行します。産婦人科医の協力のもとで胎児をモニターし、児の娩出時には小児科医との連携もとることが望ましいです。

妊娠前にうつ病に罹患して抗うつ薬などの精神科薬物治療を受けていた患者様が妊娠した場合、胎児への影響を心配して抗うつ薬による治療を中断する女性は多いと推測されますが、中断した場合、その50%が妊娠後期までに再発するという報告もあります。このため症状に応じた適切な精神科薬物療法と服薬指導が必要です。

(2)母乳栄養

母乳栄養のために向精神薬を中止したり減量することは、母親の精神障害の経過を増悪させたり長引かせたりすることになるので行いません。薬物は母乳に移行しますが、その移行の程度は、母親が摂取する体重あたりの薬物量の数パーセントであり、母乳栄養児への副作用はみられず、その後の発達の経過も正常であるとの報告が多いです。そのため、むやみに母乳を中止、禁止するのが科学的態度とはいえず、精神科薬物療法と母乳栄養は両立するというのが国際的なコンセンサスです。ただし、乳児に黄疸などをはじめ小児科的疾患が認められたり、未熟児で肝臓や腎臓での解毒作用が十分でない場合は母乳栄養は行わないなど、個別の判断は必要です。

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