ホーム > 疾患・症状 > PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは、突然の不幸な出来事によって命の安全が脅かされたり、天災、事故、犯罪、虐待などによって強い精神的衝撃を受けることが原因で、心身に支障をきたし、社会生活にも影響を及ぼす様々なストレス障害を引き起こす精神的な後遺症、疾患のことです。
心の傷は、心的外傷またはトラウマと呼ばれます。トラウマには事故・災害時の急性トラウマと、児童虐待など繰り返し加害される慢性の心理的外傷があります。
心的外傷後ストレス障害は地震、洪水、火事のような災害、または事故、戦争といった人災、あるいはいじめ、テ口、監禁、虐待、強姦、体罰などの犯罪、つまり、生命が脅かされたり、人としての尊厳が損なわれるような多様な原因によって生じえます。
以下の3 つの症状が、PTSDと診断するための基本的症状であり、これらの症状が、強い恐怖、無力感または戦慄を伴う出来事の後、1ヶ月以上持続している場合には PTSD、1ヶ月未満の場合には ASD(急性ストレス障害)と診断します。
自分の気持ちのなかで心的外傷体験の整理がつかず、自分の意志に反して頭のなかに浮かび上がり(侵入)、反復されることを指し、ただ単に体験に伴う嫌な感情が思い出されることと区別されねばなりません。たとえば誰かと喧嘩して嫌な感情が思い出されるということではなく、死に直面した恐怖体験に伴う感情が浮かび上がることが必要です。
心的外傷体験に関連した場面、場所をただ単に避けるということではなく、心的外傷に起因した恐怖感が抜けずに無意識のうちに回避行動をとってしまう場合に限定すべきです。たとえば、通勤途上で駅ホームに立っていたところ、何者かに後ろから羽交い締めにされて線路に転落、入線してきた電車に接触して頭部外傷を負い、その後、電車が到着するまでホームで待つことができず、階段のところで電車を待ち、電車がホームに着いたのを確認して電車に乗るようになった場合などです。
入眠困難、易刺激性、集中困難と記載されていますが、これらの症状が凄まじい心的外傷体験にさらされたために感情が高ぶり、症状が落ち着いていく過程のなかで生じるものです。もちろんすんなり症状が改善されるものではなく、心的外傷体験に対するこころの揺れが波状の経過を取りながら消腿していくものと考えられます。