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リワーク支援について(その15)
皆様、おはようございます。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク支援について」の15回目です。前回に続き、リワーク支援(職場復帰支援)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●就業上の配慮
何か月にも及ぶ休業例では、職場復帰前(リワーク前)に症状が消失しているようにみえ、生活リズムも休業前と同等までに回復していても、また後述するリワーク・プログラム(職場復帰支援プログラム)の類を経ていたとしても、職場復帰直後(リワーク直後)から発症前と同じ作業を行うことは困難です。したがって、職場復帰の可否(リワークの可否)を判定し、職場復帰可能(リワーク可能)であると判断された場合には、次にどのような職場(上述したように、元の職場への復職(リワーク)が原則である)で、どのような業務に従事することから仕事を開始するのかを検討することになります。この就業上の配慮は、当該労働者のストレス軽減を狙ったものであるが、見方を変えれば就業制限であるとも言え、諸般の事情で当該労働者が元の仕事に従事することを望んでいた場合には、ストレス要因となりえることに注意が必要です。
職場復帰に当たって(リワークに当たって)の就業上の配慮の例を下表に示しました。
◇《就業上の配慮の例》
短時間勤務
軽作業や定型業務への従事
残業・深夜業務の禁止
出張制限
交代勤務制限
業務制限
フレックスタイム制度の制限または適用
転勤についての配慮
就業時間の短縮は、たとえば通常の勤務時間が一日7.5時間である職場で、復職後(リワーク後)しばらくは6時間勤務あるいは半日勤務などとするものです。この場合、それ以上で7.5時間以内であれば可とするのではなく、「○時出社、△時退社」と定め、それがうまく継続できるか、そしてその間の勤務状況がどのようであるかを評価するべきです。また、勤務時間の短縮は、出勤時間を遅らせることによるものと、退社時間を早めることによるものがあるが、一般的には後者のほうが望ましいです。例えば、うつ病の場合、症状の日内変動がみられ、朝症状が強く、その後徐々に緩和されることが多いことから、出勤時間を遅らせるほうが望ましいと考えられがちであるが、そもそも日内変動がみられている状況では、職場復帰は時期尚早(リワークは時期尚早)です。勤務時間の短縮は、症状の日内変動への配慮などによるものではなく、長期休業ののちの勤務では疲労しやすいことへの配慮と考えるべきなのだという指摘が多いです。生活リズムが回復している労働者の出勤時間を遅らせるのは、再度生活リズムを崩すきっかけを作ってしまうことにもなり得ます。
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。