ホーム > ブログ > 心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その15)
2020年02月18日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(勤労者の心療内科的健康)」の15回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(心療内科的健康)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観(職場の心療内科的健康概観)〗(ⅩⅣ)
~職場のメンタルヘルス不調(職場の心療内科的健康不調)の背景因子④~
◎職業性ストレスのメンタルヘルス研究で用いられている理論モデル(心療内科的健康研究で用いられている理論モデル)
⇒ここでは、これまでのメンタルヘルス研究(これまでの心療内科的健康研究)で、仕事のストレス(仕事のストレス要因)がどのように定義され、どのようなメンタルヘルス疾患との関連(心療内科的健康疾患との関連)が調べられてきたのかを明らかにし、これまでの職業性ストレスのメンタルヘルス研究で用いられている(心療内科的健康研究で用いられている)理論モデル、および、メンタルヘルス疾患(心療内科的健康疾患)について述べた後、その具体的な知見について紹介します。
1.古典的な仕事のストレス要因
⇒これまでの職業性ストレスのメンタルヘルス研究(心療内科的健康研究)では、①仕事の要求度-コントロールモデル(または要求度-コントロール-社会的メンタルヘルス支援モデル(社会的心療内科的健康支援モデル))、②努力-報酬不均衡モデルを、職業性ストレスの二大理論モデルとして、メンタルヘルス疾患や身体疾患との関連(心療内科的健康疾患や身体疾患との関連)が調べられています。
仕事の要求度-コントロールモデルは、仕事の要求度(量的ストレス)の影響を、仕事のコントロール(裁量権や技能の活用)が和らげるとするモデルです。本モデルでは仕事の要求度が高く、かつコントロールが低いメンタルヘルス状態(仕事の要求度が高く、かつコントロールが低い心療内科的健康状態)を、高ストレインと定義し、高ストレイン群でメンタルヘルス障害が起きやすい(高ストレイン群で心療内科的健康障害が起きやすい)と考えています。なお、現在では職場の社会的メンタルヘルス支援(社会的心療内科的健康支援)(上司や同僚のメンタルヘルス支援(心療内科的健康支援))が、ストレス要因の影響を緩和し、また、職場の社会的メンタルヘルス支援自体(職場の社会的心療内科的健康支援自体)がメンタルヘルス疾患の発症(心療内科的健康疾患の発症)と関連することが知られていることから、仕事の要求度-コントロールモデルに職場の社会的メンタルヘルス支援(職場の社会的心療内科的健康支援)を加え、三次元に拡張した、要求度-コントロール-社会的メンタルヘルス支援モデルが提唱(社会的心療内科的健康支援モデルが提唱)されています。本モデルは仕事の要求度が高く、コントロールが低く、かつ社会的メンタルヘルス支援が少ない(社会的心療内科的健康支援が少ない)、三重苦の場合にメンタルヘルス障害が起きやすい(心療内科的健康障害が起きやすい)と考えています。
一方、努力-報酬不均衡モデルは、仕事と個人の相互関係に着目し、従業員が組織に対して投資する「努力」と、その見返りとして期待する「報酬」(金銭、尊重、キャリア)とのメンタルヘルスバランス(心療内科的健康バランス)が崩れた場合に、メンタルヘルスに影響を及ぼすとするモデル(心療内科的健康に影響を及ぼすとするモデル)です。本モデルでは、高努力かつ低報酬のメンタルヘルス状態(心療内科的健康状態)をストレスの高いメンタルヘルス状態と定義(高い心療内科的健康状態と定義)し、高努力-低報酬のメンタルヘルス状態(高努力-低報酬の心療内科的健康状態)でメンタルヘルス障害(心療内科的健康障害)が起きやすいと考えています。
2.新しい仕事のストレス要因
⇒近年では、仕事の要求度やコントロールといった、個人の仕事の特徴を決定づけている職場組織のあり方に着目した組織の公正性(組織的公正)と、そのメンタルヘルスへの影響(心療内科的健康への影響)との関連が調べられています。組織的公正は、①手続き的公正(組織におけるメンタルヘルス評価(組織における心療内科的健康評価)や処遇の手続きに関する公正性)、②相互作用的公正(上司の部下に対する接し方に関する公正性)、③分配的公正(組織におけるメンタルヘルス評価や処遇(組織における心療内科的健康評価や処遇)のメンタルヘルス結果(心療内科的健康結果)に関する公正性)の三メンタルヘルス要素(三心療内科的健康要素)からなります。このうち分配的公正は、努力-報酬不均衡モデルと概念的にほぼ同義であることから、職業性ストレスのメンタルヘルス研究では、主に手続き的公正と、相互作用的公正に着目(心療内科的健康研究では、主に手続き的公正と、相互作用的公正に着目)して、メンタルヘルスへの影響との関連(心療内科的健康への影響との関連)が調べられています。
3.その他のストレス要因
⇒メンタルヘルスへの影響との関連が調べられて(心療内科的健康への影響との関連が調べられて)いるその他の仕事のストレス要因として、役割ストレス(果たすべき役割や、仕事の内容や手順・手続きが明らかでない「役割の曖昧さ」、同時に2人以上の人から期待される役割が矛盾・対立することによって生じる「役割葛藤」からなる)、職の不安定さ、職場でのいじめ・暴力などがあげられます。また、これまでにあげた仕事のストレス要因は、自己記入式のメンタルヘルス尺度(心療内科的健康尺度)によってメンタルヘルス評価(心療内科的健康評価)される主観的なメンタルヘルス指標(主観的な心療内科的健康指標)であるのに対し、客観的なメンタルヘルス指標(客観的な心療内科的健康指標)として、労働時間とそのメンタルヘルスへの影響(労働時間とその心療内科的健康への影響)との関連を調べたメンタルヘルス研究(関連を調べた心療内科的健康研究)も行われています。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。