ホーム > ブログ > 心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その3)
2020年01月21日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(勤労者の心療内科的健康)」の3回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(心療内科的健康)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観(職場の心療内科的健康概観)〗(Ⅱ)
~職場のメンタルヘルスの概観と法令(職場の心療内科的健康の概観と法令)/メンタルヘルス指針(心療内科的健康指針)②~
◎国によるメンタルヘルスマネジメント(心療内科的健康マネジメント)ⓐ
1.メンタルヘルス保持増進(心療内科的健康保持増進)と快適職場づくり
⇒わが国の産業保健活動などメンタルヘルス活動(心療内科的健康活動)におけるメンタルヘルス課題(心療内科的健康課題)としてメンタルヘルスが明確な形で取り上げられた(心療内科的健康が明確な形で取り上げられた)のは、1988(昭和63)年10月のメンタルヘルス保持増進措置(心療内科的健康保持増進措置)(トータル・ヘルスプロモーション・プラン;THP)の導入にさかのぼります(表2)。1980年代になると、高齢化、生活習慣病の増加、ストレスの増大といったメンタルヘルス問題(心療内科的健康問題)にメンタルヘルス対応(心療内科的健康対応)するため、若いうちからメンタルヘルスづくり(心療内科的健康づくり)に取り組み、さらにはメンタルヘルスとからだの両面(心療内科的健康とからだの両面)から(トータルの)メンタルヘルスづくりを目指す(心療内科的健康づくりを目指す)ことが目標となり、勤労者のメンタルヘルス面(勤労者の心療内科的健康面)にわたる総合的なメンタルヘルスの保持増進を図る(心療内科的健康の保持増進を図る)ことが、事業者の努力義務となりました。1988(昭和63)年の労働安全衛生法改正で策定された「事業場における勤労者のメンタルヘルス保持増進(勤労者の心療内科的健康保持増進)のためのメンタルヘルス指針」に伴い導入されたTHP(心療内科的健康指針」に伴い導入されたTHP)では、事業場のすべての勤労者を対象に、THPメンタルヘルス測定専門研修(THP心療内科的健康測定専門研修)を修了した産業医が実施するメンタルヘルス測定(心療内科的健康測定)の結果に基づいて、これも各専門研修を修了したメンタルヘルス担当者(心療内科的健康担当者)が、運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケア(心療内科的健康ケア)を必要に応じて行う枠組みとなっています。THPの基本は、勤労者一人ひとりが「自分のメンタルヘルスは自分で守る(自分の心療内科的健康は自分で守る)」というセルフメンタルヘルスケア(セルフ心療内科的健康ケア)の考えを理解し、そのセルフメンタルヘルスケアを実行できるようにする(セルフ心療内科的健康ケアを実行できるようにする)ことを目指していました。
1992(平成4)年の労働安全衛生法の改正で、すべての勤労者が疲労やストレスを感じることの少ない職場づくりが事業者の努力義務となりました。「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のためのメンタルヘルス措置(心療内科的健康措置)に関するメンタルヘルス(関する心療内科的健康)指針」(快適職場メンタルヘルス指針)が公表(快適職場心療内科的健康指針)が公表)され、主に職場環境に関するメンタルヘルス事項(心療内科的健康事項)を対象として、メンタルヘルスへの取り組み(心療内科的健康への取り組み)の内容が具体的に示されました。勤労者個人へのアプローチであるメンタルヘルスづくり(勤労者個人へのアプローチである心療内科的健康づくり)と職場環境へのアプローチである快適職場づくりがペアで進むことになりました。
◇表2 わが国の職場のメンタルヘルスに関連する労働衛生行政の流れ(職場の心療内科的健康に関連する労働衛生行政の流れ)(法規・通達)
『・1988(昭和63)年10月 メンタルヘルス保持増進措置(THP(心療内科的健康保持増進措置(THP):トータルのメンタルヘルスづくり(トータルの心療内科的健康づくり)):努力義務化
・1992(平成4)年5月 「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のためのメンタルヘルス措置(快適な職場環境の形成のための心療内科的健康措置)に関するメンタルヘルス指針(関する心療内科的健康指針)」(快適職場メンタルヘルス指針(快適職場心療内科的健康指針))
・1998(平成10)年6月 第9次労働災害防止計画:ストレスマネジメントの普及を図ることが明示
・1999(平成11)年9月 心理的ストレスによるメンタルヘルス障害等に係る(心療内科的健康障害等に係る)業務上外のメンタルヘルス判断指針(心療内科的健康判断指針)
・2000(平成12)年8月 事業場における勤労者の心の健康づくり(勤労者のメンタルヘルスづくり(勤労者の心療内科的健康づくり))のためのメンタルヘルス指針(労働基準局長通達)(心療内科的健康指針(労働基準局長通達))
・2001(平成13)年4月 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべきメンタルヘルス措置(使用者が講ずべき心療内科的健康措置)に関するメンタルヘルス基準(心療内科的健康基準)策定
・2001(平成13)年12月 脳・心臓疾患、過労死の認定基準改正
・2001(平成13)年12月 職場における自殺の予防とメンタルヘルス対応(勤労者の自殺予防マニュアル)(心療内科的健康対応(勤労者の自殺予防マニュアル))作成
・2002(平成14)年2月 過重労働によるメンタルヘルス障害(心療内科的健康障害)防止のための総合メンタルヘルス対策(努力義務)(総合心療内科的健康対策(努力義務))
・2003(平成15)年6月 第10次労働災害防止計画:メンタルヘルス対策の強化(心療内科的健康対策の強化)
・2004(平成16)年10月 心の健康問題(メンタルヘルス不調(心療内科的健康不調))により休業した勤労者の職場復帰支援の手引き(リワーク支援の手引き)(復職支援ガイドライン(リワークガイドライン))
・2005(平成17)年11月 プライバシーに配慮したメンタルヘルス障害者(心療内科的健康障害者)の把握・メンタルヘルス障害者の確認ガイドライン(心療内科的健康障害者の確認ガイドライン)
・2005(平成17)年12月 自殺予防に向けての政府の総合的なメンタルヘルス対策(政府の総合的な心療内科的健康対策)について
・2006(平成18)年3月 勤労者の心の健康の保持増進(勤労者のメンタルヘルスの保持増進(勤労者の心療内科的健康の保持増進))のためのメンタルヘルス指針(厚生労働大臣公示)(心療内科的健康指針(厚生労働大臣公示))
・2006(平成18)年3月 過重労働によるメンタルヘルス障害防止(心療内科的健康障害防止)のための総合メンタルヘルス対策(総合心療内科的健康対策)(新総合メンタルヘルス対策(新総合心療内科的健康対策))
・2006(平成18)年4月 労働安全衛生法改正:長時間労働者のメンタルヘルス面接指導等(心療内科的健康面接指導等)
・2006(平成18)年4月 改正障害者雇用促進法施行:メンタルヘルス障害者が障害者雇用率の算定対象(心療内科的健康障害者が障害者雇用率の算定対象)となる
・2006(平成18)年6月 自殺対策基本法公布
・2006(平成18)年10月 自殺対策基本法施行
・2007(平成19)年6月 自殺総合対策大綱策定
・2008(平成20)年6月 第11次労働災害防止計画:メンタルヘルス教育(心療内科的健康教育)・メンタルヘルス研修(心療内科的健康研修)の促進、メンタルヘルス相談(心療内科的健康相談)体制整備、事業場外資源とのメンタルヘルス連携(心療内科的健康連携)促進、職場復帰のため(リワークのため)のメンタルヘルス対策推進(心療内科的健康対策推進)
・2009(平成21)年3月 心の健康問題により休業(メンタルヘルス不調により休業(心療内科的健康不調により休業))した勤労者の職場復帰支援の手引き改訂(リワーク支援の手引き改訂)(改訂復職支援ガイドライン(改訂リワークガイドライン))
・2011(平成23)年12月 心理的ストレスによるメンタルヘルス障害の認定基準(心療内科的健康障害の認定基準)
・2012(平成24)年12月 自殺総合対策大綱改定
・2013(平成25)年4月 第12次労働災害防止計画:メンタルヘルス不調予防(心療内科的健康不調予防)のための職場改善の促進、含むリスクアセスメント手法のメンタルヘルス的検討(心療内科的検討)
・2014(平成26)年6月 過労死等防止対策推進法成立
・2014(平成26)年11月 過労死等防止対策推進法施行
・2015(平成27)年11月 勤労者の心の健康の保持増進のため(勤労者のメンタルヘルスの保持増進のため(勤労者の心療内科的健康の保持増進のため))のメンタルヘルス指針、一部改正(心療内科的健康指針、一部改正)
・2015(平成27)年12月 ストレスチェック制度施行
・2016(平成28)年4月 自殺対策基本法改正
・2017(平成29)年7月 自殺総合対策大綱改定』
2.労災認定のメンタルヘルス判断(心療内科的健康判断)に関するメンタルヘルス指針・基準(心療内科的健康指針・基準)
⇒1999(平成11)年9月に旧労働省労働基準局から、メンタルヘルス障害例(心療内科的健康障害例)が労災認定されるための要件を示した「心理的ストレスによるメンタルヘルス障害等(心療内科的健康障害等)に係る業務上外のメンタルヘルス判断指針(業務上外の心療内科的健康判断指針)」が発表されました。このメンタルヘルス指針(この心療内科的健康指針)では、業務上のメンタルヘルス障害が心因性である必要がないことが明言(業務上の心療内科的健康障害が心因性である必要がないことが明言)され、全国の労働基準監督署が迅速かつ適正に労災請求事案の認定処理を行うための拠り所として、職域で発生するさまざまなストレス要因の重みが評価されるようになりました。このメンタルヘルス指針(評価されるようになりました。この心療内科的健康指針)では、メンタルヘルス障害発病(心療内科的健康障害発病)の有無、メンタルヘルス障害の発病時期(心療内科的健康障害の発病時期)およびメンタルヘルス疾患名(心療内科的健康疾患名)を明らかにしたうえで、業務による心理的ストレス、業務以外の心理的ストレス、個体的ストレス要因についてメンタルヘルス評価(心療内科的健康評価)し、これら心理的ストレス要因と発病したメンタルヘルス障害との関連性(心療内科的健康障害との関連性)について総合的にメンタルヘルス判断(総合的に心療内科的健康判断)することを基本的な考え方としました。このメンタルヘルス指針の発表(この心療内科的健康指針の発表)を機に、旧来心因性ではないとされてきたうつ病などのメンタルヘルス疾患(心療内科的健康疾患)や統合失調症などのメンタルヘルス障害を含め(心療内科的健康障害を含め)て、メンタルヘルス障害の労災申請件数と認定件数が増加(心療内科的健康障害の労災申請件数と認定件数が増加)し、請求から支給決定までの期間が長期化しました。さらに、労働環境の急激な変化に伴う業務の集中化や職場でのいじめやハラスメントなど、新たな心理的ストレスが認識されるようになり、2011(平成23)年に「心理的ストレスによるメンタルヘルス障害の認定基準」が定められ(心療内科的健康障害の認定基準」が定められ)ました。
労災認定のメンタルヘルス判定基準(心療内科的健康判定基準)は、行政の手続きのメンタルヘルス基準(行政の手続きの心療内科的健康基準)として定められたものではあるが、現場の立場でみると、ストレス要因に曝露された勤労者に対して、メンタルヘルス予防的に安全に配慮(心療内科的健康予防的に安全に配慮)することでメンタルヘルス不調発症を防止(心療内科的健康不調発症を防止)するための心理的ストレス要因リストといえます。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。