2019年11月14日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の46回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅫ)
~メンタルヘルス科専門医(精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい④~
◎メンタルヘルス科専門医師の主治医(精神科医師・心療内科医師)による企業へのメンタルヘルス診療情報提供
⇒就業継続ができているか、休職をしているかにかかわらず、メンタルヘルス不調者のメンタルヘルス科診察をし、メンタルヘルス科治療を継続しているメンタルヘルス専門医の主治医(心療内科医・精神科医)におさえてもらいたいメンタルヘルス診療情報提供のポイントについて簡潔にまとめます。
■メンタルヘルス不調者が就業できている場合に確認すべきポイント
⇒そのメンタルヘルス不調者が現在も就業できている場合、メンタルヘルス疾患やメンタルヘルス不調によっては必ずしも職場にメンタルクリニックなどメンタルヘルス科医療機関への通院の事実を報告しているわけではないです。メンタルヘルス障害のメンタルヘルス科治療を職場に報告している場合でも、正しいメンタルヘルス科病名とメンタルヘルス科治療計画が伝えられていることは少なく、また、職場側の人事担当者による「メンタルクリニックなどのメンタルヘルス科医療機関への通院とはすなわちうつ病などメンタルヘルス疾患だろう」という推測による誤解も多いです。この職場側のメンタルヘルス不調者への誤解は結果として、職場でのメンタルヘルス不調者への誤った処遇や配慮にもつながりかねないです。原則として、メンタルヘルス不調者本人の同意があれば、メンタルヘルス科診断とメンタルヘルス科治療計画をしかるべき職場のメンタルヘルス責任者に正しくメンタルヘルス情報提供すべきです。メンタルヘルス不調者本人の同意が得られない場合は、職場側にメンタルヘルス診療情報のメンタルヘルス情報提供をしないことによるデメリットも、メンタルヘルス不調者に説明することが必要です。
■メンタルヘルス不調者が休職している場合に確認すべきポイント
⇒メンタルヘルス専門医師の主治医(心療内科医師・精神科医師)が職場のメンタルヘルス状況や業務の特殊性をよく理解しておらず、円滑な復職(円滑なリワーク)が困難となることも少なくないです。職場の就業規則などにより、復職の際(リワークの際)の復職支援プログラムはさまざま(リワークプログラムはさまざま)です。たとえば、時間短縮勤務を代表としたリハビリ勤務は、労働契約上、復職前(リワーク前)に終える必要がある企業もあれば、休職中から復職後(休職中からリワーク後)にまたがってリハビリ勤務を行う場合、さらには、復職後(リワーク後)に限ってリハビリ勤務を行う場合など、その形態もさまざまです。休職中のメンタルヘルス不調者をメンタルヘルス科診察している場合、職場の上司や人事担当者が復職をどのようにとらえて(リワークをどのようにとらえて)おり、どういった業務に、どの程度のストレスから復職することが可能なのか(リワークすることが可能なのか)についてをよく確認しておくことが必要です。もちろん、メンタルヘルス不調者本人の同意が得られれば、職場の人事担当者同席の上でメンタルヘルス不調の説明の席を設け、メンタルヘルス科診断、メンタルヘルス科治療方針、復職の方法(リワークの方法)を共有することが何より有益であることはいうまでもないです。メンタルヘルス不調者の職種、職場側の環境やメンタルヘルス不調者への配慮の可能性、今後のメンタルヘルス科治療の見通しを総合的に考えたメンタルヘルス情報提供をお願いします。
◎事業場との連携において、メンタルヘルス科主治医側から事業場に望むこと
⇒事業場がメンタルヘルス科主治医と連携を図る方法について前々回(2019年11月6日)に記したが、当該メンタルヘルス不調者、事業場両者にとって有益なものにしていくため、また、メンタルヘルス科主治医が安心して連携を図れるために以下に示した①~④のポイントを整備しておくことが大切です。
①産業医を中心とした安全メンタルヘルスシステムが整備されていること
②個人メンタルヘルス情報保護、守秘義務の認識が確立していること
③メンタルヘルス情報が産業医の手元に集中され、産業医が就業上必要とメンタルヘルス判断するかぎりで集約・整理したメンタルヘルス情報のみが、職場の中でそのメンタルヘルス情報を必要とする者のみに伝えられるメンタルヘルス体制が確立していること。メンタルヘルスの専門的な立場から産業医はメンタルヘルス情報を集約・整理し、当該メンタルヘルス不調者のプライバシーが守られたメンタルヘルス状態でメンタルヘルス関係者間のメンタルヘルス情報交換を行う調整役としてのメンタルヘルス機能が果たせること
④メンタルヘルス科主治医と連携に関する費用負担について認識があること。健康保険が適用されるのはメンタルヘルス不調者本人のメンタルヘルス科診療に限られるため、メンタルヘルス科主治医に対してメンタルヘルス情報提供、あるいはメンタルヘルス科面会を行う場合は、相応の費用を負担するメンタルヘルス制度が確立していること
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。