2019年11月02日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の43回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅨ)
~公的メンタルヘルス機関の現状と有効性は?~
外的資源、あるいは「労働者の心の健康(労働者のメンタルヘルス)の保持増進のためのメンタルヘルス指針」にある事業場外資源として活用できる公的メンタルヘルス機関には、メンタルヘルス不調者と事業場を対象として運営されているもののほか、地域メンタルヘルス機関として設置されているものがあります。
後者の地域メンタルヘルス機関は、産業メンタルヘルスに対する理解とメンタルヘルス対応が現状としては必ずしも十分とは言えない面があります。しかし、メンタルヘルス不調者はもちろん事業場も当然、地域の一員にほかならないです。したがって、メンタルヘルス不調者にかかわるメンタルヘルス問題に関しても、地域メンタルヘルス機関の有効な利用が期待されます。また、そうした公的メンタルヘルス機関のサービスの多くが無料で利用できる利点も小さくないです。このようなことからも、職域精神保健(職域メンタルヘルス)と地域精神保健(地域メンタルヘルス)との連携は産業精神保健(産業メンタルヘルス)の重要なメンタルヘルス課題であり、職域と地域のメンタルヘルス相互理解およびメンタルヘルス科専門医療機関との連携、メンタルヘルス科専門医療機関とのネットワークづくりが求められます。
産業メンタルヘルス従事者は、メンタルヘルス不調者が種々の資源を活用しやすいように、また自らのメンタルヘルス業務を効果的に進めるために、公的メンタルヘルス機関のそれぞれのメンタルヘルス機能を知り、メンタルヘルス専門職種の配置状況などのメンタルヘルス情報を収集するとともに、日常的にメンタルヘルス科専門医療機関とのネットワークの構築およびメンタルヘルス科専門医療機関の参加を図ることが望まれます。
~メンタルヘルス科専門医(精神科医・心療内科医)との連携法を知りたい①~
◎メンタルヘルス科専門医師(精神科医師・心療内科医師)との連携の原則
⇒当該メンタルヘルス不調者の就業措置、復職支援など(就業措置、リワークなど)においてメンタルヘルス専門医の主治医(心療内科医・精神科医)など事業場外資源と事業場とが連携を図ることは、当該メンタルヘルス不調者のよりよい適応のためにも必要であり、メンタルヘルス不調者、事業場両者の利益に繋がる事柄です。よって推進されるべきことであるが、メンタルヘルスに関する情報、特にメンタルヘルス疾患名などは誤解や偏見を招きやすいだけにきわめて慎重に進める必要があります。
事業場外資源と事業場とが連携を図るための原則として、まず、メンタルヘルス専門医師の主治医(心療内科医師・精神科医師)が当該メンタルヘルス不調者本人のメンタルヘルス科診療内容に関して個人メンタルヘルス情報保護および守秘義務を遵守する義務を負っていること、また、メンタルヘルス科主治医にとって、当該メンタルヘルス不調者はあくまで患者としての存在であるので、メンタルヘルス科主治医は患者の不利益になる可能性のあることは回避する立場にあることを認識しておく必要があります。
よって、メンタルヘルス科専門医療機関から当該メンタルヘルス不調者本人自身のメンタルヘルス情報を得たい場合、あるいはメンタルヘルス相談をしようとする際には、メンタルヘルス科主治医へ依頼するメンタルヘルス情報提供の内容、目的などを事前に当該メンタルヘルス不調者に対し説明し、当該メンタルヘルス不調者から同意を得ることが原則となります。また、メンタルヘルス科主治医に対しては、職場側のプライバシーに関する規則や体制(メンタルヘルス科主治医から提供され得られたメンタルヘルス情報が職場の中でどの範囲に伝わるのか、どのような目的でメンタルヘルス情報が利用されるのかなど)も説明しておく必要があります。さらに、メンタルヘルス科主治医に提供を求めるメンタルヘルス情報は、当該メンタルヘルス不調者の就業制限、休職、復職などに関して職場で配慮すべき内容(リワークなどに関して職場で配慮すべき内容)が中心であり、そのための理解を得るための必要最小限のメンタルヘルス状態やメンタルヘルス機能に関するメンタルヘルス情報とすべきです。したがって、必ずしも具体的なメンタルヘルス疾患名が必要ではないことを職場側としても留意しておく必要があります。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。