2019年09月10日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の24回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(Ⅹ)
~メンタルヘルス不調者のメンタルヘルス問題を整理する際のポイント~
◎メンタルヘルス科専門医療機関受診を勧奨すべきかどうかを判断する
●日常生活や業務に支障をきたすほどのメンタルヘルス症状がある
⇒たとえば、不眠が続くため職場でいつも眠気に襲われる、不安が強くて仕事に集中できずミスが多くなる、疲労感が強くて休日は何もせずに横になっていることが多いなどです。このように日常生活や業務に支障が出るメンタルヘルス状態のレベルかどうかが、メンタルヘルス科専門医療機関への受診勧奨の一つのポイントになります。
●自責感、焦燥感が強い
⇒たとえ日常生活や業務に支障が出ていなくても、たとえばメンタルヘルス不調者本人にとっては限界に近くなっており「こんな自分が情けない」「会社や家族に迷惑をかけることになる」など自責感が強い場合、「もう居ても立ってもいられないくらいイライラする」など、焦燥感が強い場合はうつ病などのメンタルヘルス疾患が疑われるのでメンタルヘルス科受診を勧めます。
●自傷や自殺をほのめかす
⇒このようなメンタルヘルス状態であれば急ぎのメンタルヘルス対応が必要となります。特に、自傷や自殺しないことを約束できない場合はできるだけその日のうちにメンタルヘルス科受診させることを考えます。上司、人事、家族と連携して複数の人間で動き、確実にかつ安全にメンタルヘルス科受診に至ることができるよう配慮します。メンタルヘルス科受診の際は家族の同伴が望ましいが、地理的条件などで同伴が困難な場合でも決して1人でメンタルヘルス科受診させず、会社の誰かが同伴することを考えます。
●メンタルヘルス不調者本人がメンタルヘルス科受診を希望している
⇒上にあげたメンタルヘルス状態にまではなくても、当該メンタルヘルス不調者本人がメンタルヘルス科受診を希望していたらメンタルヘルス科受診を勧めるのがよいです。メンタルヘルス科専門医療機関を受診するのは必ずしもメンタルヘルス科治療を必要とする場合だけでなく、現在のメンタルヘルス不調者本人がメンタルヘルス疾患なのかどうか、メンタルヘルス科専門医(精神科医・心療内科医)のメンタルヘルス判断を仰ぐ場合にもあり得ます。
メンタルヘルス科受診を勧める際には必ずしもメンタルヘルス疾患名を推定してメンタルヘルス不調者本人に伝える必要はないが、メンタルヘルス不調者本人自身から「自分はうつ病などメンタルヘルス疾患かもしれないと思う」などと言ってきたら、「うつ病などメンタルヘルス疾患の可能性もあるし、抑うつ状態のようなメンタルヘルス不調はほかの病気でもなり得るから、一度メンタルヘルス科専門医療機関でメンタルヘルス相談したほうがいい」などと話すとよいです。胃の痛みや疲労感など身体症状が前面に出ており、まだ内科などの身体科を受診していない場合は、メンタルヘルス上の緊急を要するようなメンタルヘルス状態でないかぎりはまずそちらの受診を優先させ、その結果、身体的に異常が認められない、または異常はあるもののメンタルヘルス科的問題の関与が強いとメンタルヘルス判断された場合にはメンタルヘルス科専門医療機関を受診してもらうようにします。今後、主治医(精神科医師・心療内科医師)との連携をとっていくことが重要になるので、メンタルヘルス科受診の際はできれば産業医からの紹介状を持たせるようにします。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。