2019年08月10日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の10回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎メンタルヘルス活動の現状(Ⅱ)
●職場におけるメンタルヘルス活動の実際①
⇒メンタルヘルス活動の具体的な内容については別の機会で詳しく述べますが、今回から現在職場で行われているメンタルヘルス活動の概要について説明します。
ⓐ労働者に対するメンタルヘルス教育啓発活動
⇒最近では、社内広報誌や社内webページなどを利用して、うつ病などメンタルヘルス疾患等に対する基本的な内容やメンタルヘルス不調への気づきのヒントについてのメンタルヘルス情報を提供している企業が多いです。これまで職場では「うつ病」といったメンタルヘルス疾患名を掲げてメンタルヘルス教育することに抵抗を感じることが多かったが、現在ではうつ病などメンタルヘルス疾患をテーマにしたメンタルヘルス教育啓発活動は積極的に行われるようになっています。うつ病などメンタルヘルス疾患は普通にみられる病気であること、しかし、うつ病などのメンタルヘルス疾患と気づかずに放っていると自殺も含め重大な結果をもたらしてしまう可能性があること、そして、職場うつ病などメンタルヘルス疾患はメンタルヘルス科治療によって治すことが十分可能であることなどが、職場でメンタルヘルス教育されています。いまだうつ病などメンタルヘルス疾患については誤ったイメージをもつ労働者も少なくないため、職場うつ病などメンタルヘルス疾患の生物学的な側面も含めたメンタルヘルス教育も積極的に行い、なぜうつ病治療などメンタルヘルス疾患治療が必要なのかを正確に理解してもらうことでメンタルヘルス科受診やメンタルヘルス科治療に対する抵抗を少なくするよう工夫している企業もあります。
また、抑うつ状態などメンタルヘルス不調は、職場よりも家庭で最初に気づかれることも多く、メンタルヘルス不調治療への結びつけにおいても、家族のメンタルヘルス不調への理解とメンタルヘルス不調への協力は欠かせないです。こういった家族によるメンタルヘルス不調の早期発見とメンタルヘルス不調への早期介入を促進するためにも、家族向けのメンタルヘルス情報提供活動は非常に重要であり、社外のEAP(employee assistance program;従業員支援プログラム)の広報などに合わせて、家族向けのメンタルヘルス教育を積極的に行う企業も増えてきています。
ⓑ管理監督者へのメンタルヘルス教育
⇒職場におけるメンタルヘルス活動の基本の一つは、過重労働防止も含めた労務管理の徹底です。過重労働防止のために多くの事業場で管理監督者へのメンタルヘルス教育が実施されているが、メンタルヘルス教育のなかでは、安全(健康)配慮義務は企業の責任であり管理監督者はこれを履行するために責任あるメンタルヘルス管理を行うこと、必要に応じてきちんと産業保健スタッフ等に結びつけること等が強調されています。特に、最近の管理監督者へのメンタルヘルス教育では「過重労働によるメンタルヘルス障害防止のための総合メンタルヘルス対策」に基づいて取り決められた長時間労働者へのメンタルヘルス管理のルールが説明されることも多く、管理監督者へのメンタルヘルス教育の際に、長時間の時間外労働の防止や労働者のメンタルヘルスへの配慮について具体的なメンタルヘルス教育がなされています。また、管理監督者へのメンタルヘルス教育のなかで、労働者の話を聞きながらメンタルヘルス不調に気づくべきポイントとして、職場うつ病などのメンタルヘルス疾患を疑わせるようなメンタルヘルス症状やうつ症状などメンタルヘルス症状に伴うような行動の変化などを含めてメンタルヘルス教育することも増えてきています。
メンタルヘルス問題への意識の高い企業では、より適切な労務管理を行うために拡大的なフレックス制度の見直し等に着手し始めたところも出ています。また、産業保健スタッフへの結びつけをスムーズに行えるよう産業医へのメンタルヘルス相談方法の周知を徹底させるほか、管理職向けのメンタルヘルス相談窓口を設置している企業もあります。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。