2019年08月08日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の9回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎メンタルヘルス活動の現状(Ⅰ)
●メンタルヘルス活動への取り組み状況
⇒わが国における職場のメンタルヘルス活動はまだ緒に就いたばかりで十分とはいえない状況にあります。労働者メンタルヘルス状況調査によると、心の健康対策(メンタルヘルス対策)に取り組んでいる事業場は全体の23.5%にすぎず、特に中小規模の事業場ではほとんどメンタルヘルス対策がなされていないことが示されています。
メンタルヘルス活動の内容としては、メンタルヘルス相談(カウンセリング)の実施(55.2%)、定期メンタルヘルス診断における問診(43.6%)、職場環境の改善(42.3%)が主なものとなっています。また、メンタルヘルス対策に取り組む事業場のうち49.8%がメンタルヘルス専門スタッフを配置しており、その内訳は、産業医(59.2%)、保健師または看護師(35.1%)、衛生管理者または衛生推進者等(32.9%)、カウンセラー等(27.1%)でした。メンタルヘルス対策の効果については、61.3%の事業場が「メンタルヘルス対策の効果があると思う」と回答しており、特にメンタルヘルス専門スタッフをおく企業のほうがよりメンタルヘルス対策の効果を感じている結果(72.4%)が示されています。
◇表1 職場のメンタルヘルスケアに関するメンタルヘルス専門スタッフの役割
『産業医:産業医は、メンタルヘルスの専門的な立場から、事業場の心の健康(事業場のメンタルヘルス)づくり計画の策定への助言・メンタルヘルス指導およびメンタルヘルス対策の実施状況を把握する。また、セルフメンタルヘルスケアおよびラインによるメンタルヘルスケアなどメンタルヘルスケアを支援し、メンタルヘルス教育研修の企画およびメンタルヘルスケアの実施、メンタルヘルス情報の収集およびメンタルヘルスケアの提供、事業場へメンタルヘルスに関する助言およびメンタルヘルス指導等を行う。就業上の配慮が必要な場合には、事業者に必要なメンタルヘルスについて意見を述べる。メンタルヘルス科専門的なメンタルヘルス相談対応が必要なメンタルヘルス事例については、事業場外資源との連絡調整にメンタルヘルスの専門的な立場からかかわる。さらに、長時間労働者等に対するメンタルヘルス面接指導等のメンタルヘルスケアの実施やメンタルヘルスに関する労働者のメンタルヘルス情報など個人情報の保護についても中心的役割を果たす。』
『衛生管理者:衛生管理者は、心の健康づくり(メンタルヘルスづくり)計画に基づき、産業医等のメンタルヘルスに関する助言、メンタルヘルス指導等を踏まえて、具体的なメンタルヘルス教育研修の企画および職場のメンタルヘルスケアの実施、職場環境等のメンタルヘルス評価とメンタルヘルス面の改善、心の健康に関する相談(メンタルヘルスに関する相談)ができる雰囲気や職場のメンタルヘルス体制づくりを行う。また、個人のセルフメンタルヘルスケアおよび職場のラインによるメンタルヘルスケアなどメンタルヘルスケア(一次予防)を支援し、そのメンタルヘルスケア(一次予防)の実施状況を把握するとともに、産業医等と連携しながら事業場外資源によるメンタルヘルスケアとの連絡調整にあたることが効果的である。』
『産業看護職(保健師・看護師):産業看護職は、産業医等および衛生管理者等と協力しながら、労働者個人のセルフメンタルヘルスケアおよび事業場等の職場ラインによるメンタルヘルスケアなど、メンタルヘルスケア(一次予防)を支援し、メンタルヘルス教育研修の企画・職場のメンタルヘルスケアの実施、職場環境等のメンタルヘルス評価とメンタルヘルス面の改善、労働者および管理監督者からのメンタルヘルス相談対応、保健指導等にあたる。』
『人事労務管理スタッフ:人事労務管理スタッフは、管理監督者だけでは解決できない職場配置、人事異動、職場の組織等の人事労務管理が心の健康に及ぼしている具体的な影響(人事労務管理がメンタルヘルスに及ぼしている具体的な影響)を把握し、労働時間等の労働条件の改善および適正配置に配慮する。』
『メンタルヘルスづくり専門スタッフ(メンタルヘルス科専門医(精神科医・心療内科医)、臨床心理士、産業カウンセラー、メンタルヘルス相談担当者):これらのメンタルヘルス専門スタッフは事業場の産業医、衛生管理者、保健師等と協力しながら、メンタルヘルス教育研修の企画・事業場など職場メンタルヘルスケアの実施、事業場など職場環境等のメンタルヘルス評価とメンタルヘルスケア面での改善、労働者および管理監督者からのメンタルヘルス科専門分野的なメンタルヘルス相談対応等にあたるとともに、当該メンタルヘルス専門スタッフのメンタルヘルス科専門領域によっては、事業者へのメンタルヘルス科専門領域的な立場からのメンタルヘルスに関する助言等を行うことも有効である。メンタルヘルス科専門医師(精神科医師・心療内科医師)は、企業内メンタルクリニックでのメンタルヘルス科診療活動だけでなく、産業医や産業看護職のメンタルヘルス活動の支援、メンタルヘルス不調で休業・休職中のメンタルヘルス不調者の復職判定(リワーク判定)や復職支援の際(リワークの際)のメンタルヘルス科専門アドバイザーとして機能することが期待されている。臨床心理士や、産業カウンセラーも産業医や産業看護職、メンタルヘルス相談担当者等によるメンタルヘルス相談活動を補完する目的で、またはよりメンタルヘルス介入的なカウンセリングを実施する目的でカウンセリング活動を行っている。なお「労働者の心の健康の保持増進(労働者のメンタルヘルスの保持増進)のための指針」では、これらの事業場外メンタルヘルス専門スタッフは「心の健康づくり専門スタッフ」と呼ばれて(「メンタルヘルスづくり専門スタッフ」と呼ばれて)いる。』
(厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針(労働者のメンタルヘルスの保持増進のための指針)」、2006(平成18)に示されたものを改変)
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。