2019年07月23日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の3回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅲ)
●メンタルヘルスに関する行政の動向
⇒職場で産業保健活動を行う根拠として労働安全衛生法があります。1988(昭和63)年の改正では、「事業者は労働者に対するメンタルヘルス教育およびメンタルヘルス相談その他労働者のメンタルヘルス保持増進をはかるために必要な措置を講ずる努力義務がある」とされ、身体疾患だけでなく、メンタルヘルス活動も含めた心身両面でのメンタルヘルス予防活動を行うことが明示されました。また、同年には「事業所における労働者のメンタルヘルス保持増進のための指針」の公示、および、“心と体の健康づくり運動”をスローガンとしたTHP(Total Health Promotion Plan)の推進が示されました。さらに、1996(平成8)年の労働安全衛生法の改正では、労働の態様の変化に伴う労働者のストレスの増加および過労死の社会問題化に対応するため、産業医の勧告、メンタルヘルス診断後の措置や保健指導などメンタルヘルス活動にも深く関連するメンタルヘルス施策についてよりメンタルヘルスの充実を図ることが求められました。2000(平成12)年8月には、労働省(現厚生労働省)から、「事業場における労働者の心の健康(事業場における労働者のメンタルヘルス)づくりのための指針」が公表されたが、その後もメンタルヘルス障害等に係る労災補償の請求件数、認定件数の増加に歯止めがきかないことから2006(平成18)年3月に上記指針の見直しが行われ、新たに「労働者の心の健康の保持増進(労働者のメンタルヘルスの保持増進)のための指針」が策定されました。
新しい指針では、事業者は事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進するため、「心の健康づくり計画(メンタルヘルスづくり計画)」を策定するとともに、職場のメンタルヘルス関係者に対するメンタルヘルスケア教育研修・職場のメンタルヘルスケア情報提供を行い、「セルフメンタルヘルスケア」「ラインによるメンタルヘルスケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルスケア」「事業場外資源によるメンタルヘルスケア」の4つのメンタルヘルスケアを効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰支援が円滑に行われる(リワーク支援が円滑に行われる)よう求めています。また、メンタルヘルスケアの推進にあたっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即したメンタルヘルスケアへの取り組みを行うことが必要であり、「心の健康づくり計画」の策定(「メンタルヘルスづくり計画」の策定)のほか、メンタルヘルスケア実施体制の整備や個人情報の保護に関する規程等の策定にあたっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うことが必要とされています。その他、職場でのメンタルヘルスケアにおいては、心の健康問題の特性(メンタルヘルス不調の特性)、個人のメンタルヘルス情報の保護への配慮、人事労務管理との関係、家庭生活等の職場以外のメンタルヘルス問題等との関係に留意する必要があることも強調されています。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。