ホーム > ブログ > リワーク(復職支援)プログラム(その25)
2019年01月17日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職支援)プログラム」の25回目です。引き続き、リワークプログラム(復職支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワークプログラムなど復職支援デイケア(復職支援プログラムなど復職支援デイケア)は全国の復職支援施設(リワーク施設)などメンタルヘルス科医療機関で受けられる〗(Ⅲ)
◎リワークプログラムへの参加条件は?(復職支援プログラムへの参加条件は?)①
~リワークプログラムの主な対象(復職支援プログラムの主な対象)はうつ病など気分障害によるメンタルヘルス不調者~
⇒リワークプログラムの主な対象者(復職支援プログラムの主な対象者)は、うつ病など気分障害によるメンタルヘルス不調と診断された人です。つまり、リワークプログラムなどデイケアの対象(復職支援プログラムなどデイケアの対象)となる人は、主に気分障害の人と、気分障害に不安障害を併発している人です。うつ病などメンタルヘルス不調以外の診断では、リワークプログラムの効果(復職支援プログラムの効果)が出にくい場合もあります。
■同じメンタルヘルス疾患の人どうしなので、リワークプログラムでの治療(復職支援プログラムでの治療)の効果が高い
⇒リワークプログラムなど復職支援デイケアの対象者(復職支援プログラムなど復職支援デイケアの対象者)を、主にうつ病などメンタルヘルス疾患や、不安障害を併発した人としているのは、リワークプログラムを円滑に進める(復職支援プログラムを円滑に進める)ことで、リワークプログラムの治療効果(復職支援プログラムの治療効果)を高めるためです。リワークプログラムなどデイケアに参加(復職支援プログラムなどデイケアに参加)できるメンタルヘルス疾患は、大うつ病や双極性障害Ⅱ型など気分障害に加え、気分障害に全般性不安障害やパニック障害など不安障害を併発している場合です。気分障害とは、うつ病や双極性障害など、気分に変調が現れるメンタルヘルス疾患の総称です。主な気分障害である大うつ病とは、強い抑うつ症状を基本に、食欲低下、不眠、イライラ、疲れやすさ、集中力の低下、自殺念慮などのメンタルヘルス症状がみられます。それに対し、双極性障害Ⅱ型とは、うつ状態と軽い躁状態をくり返します。メンタルヘルス症状の状態によってはリワークプログラムに参加できないこと(復職支援プログラムに参加できないこと)もあります。一方、不安障害とは、不安や恐怖が極端に強く、長時間持続するメンタルヘルス障害であり、うつ病などのメンタルヘルス不調を併発することが多いです。主な不安障害である全般性不安障害とは、漠然とした強い不安が持続します。それに対し、パニック障害とは、突然、強い不安や死の恐怖に襲われ、パニック発作をくり返します。
いろいろなメンタルヘルス疾患の診断患者様がリワークプログラムに混在(復職支援プログラムに混在)すると、復職支援指導(リワーク指導)がやや難しくなるという理由で診断を限定しているリワークプログラム(診断を限定している復職支援プログラム)が多いのですが、限定していないリワークプログラム(限定していない復職支援プログラム)もあります。
リワークプログラムの開始前(復職支援プログラムの開始前)に、メンタルヘルス疾患の診断をおこないます。次のようなメンタルヘルス症状が強い場合はリワークプログラムの施行が困難(復職支援プログラムの施行が困難)です。例えば、躁病・双極性障害Ⅰ型、統合失調症、精神病症状もある気分障害、パーソナリティ障害、アルコール依存症などです。躁病・双極性障害Ⅰ型とは、躁状態が強く、気分が高揚して活動性が高まり、眠らない、金遣いが荒くなる、誇大妄想などのメンタルヘルス症状が現れます。うつ症状ではなく、躁状態が全面に立っている状態なので、うつ病のリワークプログラム(うつ病の復職支援プログラム)には適さないです。統合失調症とは、脳の一部の機能がバランスを崩すことが原因とされるメンタルヘルス障害で、幻覚や妄想、自閉的傾向、社会性の低下などが特徴。軽症の人でメンタルヘルス症状が安定していればリワークプログラムの参加が可能(復職支援プログラムの参加が可能)だが、メンタルヘルス症状が不安定な場合は、自分自身を内省することで、妄想が誘発されることもあります。精神病症状もある気分障害については、気分障害でも、自分だけ被害にあっているというような妄想を伴う場合や、自分が病気であることがわからない場合は、リワークプログラムなど集団療法(復職支援プログラムなど集団療法)に参加すると、メンタルヘルス症状が悪化するおそれがあります。パーソナリティ障害とは、性格的な傾向として、行動や態度、対人的な関わり、考え方が偏っていて、自分や周囲の人を悩ませたりするメンタルヘルス障害で、うつ症状から受診することが多く、上記うつ病などメンタルヘルス不調と間違われることもあります。周囲の人を巻きこんで問題行動を起こす場合には、集団でのリワークプログラム治療(集団での復職支援プログラム治療)より、個人でのリワークプログラム療法(個人での復職支援プログラム療法)が向いています。アルコール依存症については、強迫的な飲酒をくり返すことで、自己コントロールができない状態となり、精神的にも身体的にもアルコールがなくてはならない状態に陥ります。上記うつ病などのメンタルヘルス症状をまぎらわすために飲酒をはじめる人や、アルコール依存症から二次的にうつ病などメンタルヘルス疾患を発症する人などがいます。リワークプログラムへの参加を希望(復職支援プログラムへの参加を希望)していても、上記メンタルヘルス症状が強い場合には、リワークプログラムなどデイケアに参加できないこと(復職支援プログラムなどデイケアに参加できないこと)があります。
よって、リワークプログラムの途中(復職支援プログラムの途中)で別のメンタルヘルス疾患がわかった場合、復職支援指導の途中(リワーク指導の途中)でリワークプログラムを中断(復職支援プログラムを中断)し、まずはそのメンタルヘルス疾患に対する治療を優先することもあります。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科(メンタルヘルス科)「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。