2018年10月06日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の116回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(ⅩⅩⅥ)
◎リワークプログラム(復職支援プログラム)⓮
■復職支援施設(リワーク施設)など医療機関におけるリワークプログラム(医療機関における復職支援プログラム)
(4)リワーク活動の要素(復職支援活動の要素)
⇒これまで説明してきたように復職支援施設など医療機関(リワーク施設など医療機関)においてはリワークプログラムはデイ・ケア、作業療法や集団メンタルヘルス療法などの診療報酬体系の枠組みで実施(復職支援プログラムはデイ・ケア、作業療法や集団メンタルヘルス療法などの診療報酬体系の枠組みで実施)されています。リワークプログラムの提供(復職支援プログラムの提供)のしかたをリワーク活動(復職支援活動)と考えれば、リワーク活動の要素は、以下の4点に集約(復職支援活動の要素は、以下の4点に集約)できます(表1)。
◇表1 復職支援機関(リワーク機関)などメンタルヘルス専門医療機関におけるリワーク活動の4要素(復職支援活動の4要素)
『①治療の一環としてのリハビリテーション:休養と薬物療法に加え、第3の治療技法
⇒復職支援機関など医療機関(リワーク機関など医療機関)においてリワークプログラムを実施(復職支援プログラムを実施)することが治療行為の一環である、という位置づけをメンタルヘルス科専門医(精神科医・心療内科医)と復職支援スタッフ(リワークスタッフ)が認識していることが重要である。本人の意思で主体的にリワークプログラムに参加(復職支援プログラムに参加)するというモチベーションを維持しつつ、復職を果たす(リワークを果たす)ことが必要である。会社や家族から強く勧められ本人としてはしぶしぶリワークプログラムに参加(しぶしぶ復職支援プログラムに参加)しても、本人にリワークプログラムへの参加意欲(復職支援プログラムへの参加意欲)がなければリワークプログラムの治療効果(復職支援プログラムの治療効果)は発揮できない。そのために職場復帰支援施設(リワーク支援施設)などメンタルヘルス科専門医療機関では通院を必須の条件としており、リワークプログラム終了後(復職支援プログラム終了後)も治癒まで一貫した治療を継続している
②集団において心理学的手法を利用:集団での協働作業や役割分担を通じて対人交流スキルを獲得/メンタルヘルス疾病教育や心理社会教育による自己管理(セルフメンタルヘルスケア)
⇒集団でリワークプログラムが行われる(集団で復職支援プログラムが行われる)ことに意義があり、そこで心理学的手法が多用されることがリワークプログラムを構成する重要な要素(復職支援プログラムを構成する重要な要素)である
③復職準備性(リワーク準備性)の確認:復職後(リワーク後)にメンタルヘルス疾患が再発しないか、メンタルヘルス症状寛解だけでなく、生活リズム、活動性、対人交流、ストレス耐性を確認し、産業保健スタッフと情報共有
⇒リワークプログラム実施(復職支援プログラム実施)における一つの大きな目的は、復職に当たり(リワークに当たり)どの程度安全に復職(安全にリワーク)できるかを多面的に評価して復職準備性を確認(リワーク準備性を確認)することである。そして、復職準備性の確認結果(リワーク準備性の確認結果)を産業医や産業保健スタッフと共有できる情報としてリワークプログラムに活用(復職支援プログラムに活用)すれば、復職に資する(リワークに資する)ことができる。また、このようなリワークプログラムでの評価(復職支援プログラムでの評価)を通じて本人の主体的にリワークプログラムに参加(主体的に復職支援プログラムに参加)するというモチベーションを維持する効果もある
④復職だけでなく、再休職予防(リワークだけでなく、再休職予防)が最終目標:外的要因だけでなく、休職に至った内的要因を分析し、メンタルヘルス疾患の再発を防ぐ
⇒最終目標は再休職の予防である点である。そのためには今回までの休職の理由が自分自身で整理され、自分なりの復職後の再休職予防策(リワーク後の再休職予防策)が用意されている必要がある。そのために、職場復帰支援機関(リワーク支援機関)などメンタルヘルス科専門医療機関ではリワークプログラムに参加した全員(復職支援プログラムに参加した全員)が主治医(精神科医師・心療内科医師)とともに休職に至った自己分析を実施し、休職に至るまでのメンタルヘルス不調の変化、その間の環境因子に加えて、自分に潜む内的な因子を考え、文章化している』
リワークプログラム利用者(復職支援プログラム利用者)にとっては、このような「自己洞察」のプロセスにおいて多くのことを学ぶとともに、自己の内面に目を向けて今後の仕事のしかたやストレス対処のしかた、場合によっては生き方まで変えていく機会となります。
リワークプログラム実施の際(復職支援プログラム実施の際)に実感されることとして、リワークプログラム利用者のモチベーション(復職支援プログラム利用者のモチベーション)が維持され、意欲的にリワークプログラムに参加(意欲的に復職支援プログラムに参加)し、主体的に考え行動するようになると、リワークプログラムで得られたこと(復職支援プログラムで得られたこと)が実って復職のチャンス(リワークのチャンス)が熟成してきます。リワークプログラム利用者が終了後(復職支援プログラム利用者が終了後)に復職を果たし(リワークを果たし)ても、現実的にはリワークプログラム利用者の全員(復職支援プログラム利用者の全員)が再休職せずに治療の終結にまで至るわけではないです。それでも、彼らと家族にとっては、リワークプログラムに参加して得られたこと(復職支援プログラムに参加して得られたこと)が貴重な体験であることは間違いないです。粘り強く治療を続けていけば、復職までは長い道のり(リワークまでは長い道のり)であるが、休職をしたという重い体験から必ずや解放され復職できるとの希望(リワークできるとの希望)を持ち、私たちメンタルヘルス専門医(心療内科医・精神科医)や復職支援施設のスタッフ(リワーク施設のスタッフ)もリワーク活動を行っていく(復職支援活動を行っていく)必要があります。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。