2018年09月28日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の112回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(ⅩⅩⅡ)
◎リワークプログラム(復職支援プログラム)?
■復職支援施設(リワーク施設)など医療機関におけるリワークプログラム(医療機関における復職支援プログラム)
(2)復職支援施設など医療機関(リワーク施設など医療機関)で行うリワークプログラムの要素(復職支援プログラムの要素)
⇒復職支援施設など医療機関で実施(リワーク施設など医療機関で実施)されているリワークプログラムはリハビリテーション(復職支援プログラムはリハビリテーション)で職場復帰を目的(リワークを目的)として位置づけられます。リワークプログラムをリハビリテーションとして構成(復職支援プログラムをリハビリテーションとして構成)させる上で重要であると考えられる要素は、①集団で実施、②対象を限定、③リハビリテーションの要素、④心理社会療法、という4点に集約され、リワークプログラムの要素について(復職支援プログラムの要素について)説明します。
①集団で実施するリワークプログラム(集団で実施する復職支援プログラム)
⇒リワークプログラムは診療報酬上において(復職支援プログラムは診療報酬上において)はメンタルヘルス科デイ・ケア、作業療法、集団メンタルヘルス療法として実施されているが、多人数を集めて効率的にリワークプログラムを実施(効率的に復職支援プログラムを実施)することが目的ではなく、集団療法としてのリワークプログラムの治療効果(集団療法としての復職支援プログラムの治療効果)を得ることが目的です。職場や家庭での対人関係を背景としてメンタルヘルス疾患が発生してきたのであれば、個別的治療のほかに対人関係を基礎とするリワークプログラムなど集団療法が必要(復職支援プログラムなど集団療法が必要)であることは、むしろ当然と言えます。他者の行動が自己に影響を及ぼすような集団の力動も利用しながら、リワークプログラムを進めて(復職支援プログラムを進めて)いきます。また、リワークプログラムなど集団の中(復職支援プログラムなど集団の中)では、協働した作業や役割分担を体験して職場での業務的感覚を取り戻すこともできます。
復職支援スタッフ(リワークスタッフ)にとってはリワークプログラム利用者の言動(復職支援プログラム利用者の言動)を観察して評価を行う場であるとともに、主治医(精神科医・心療内科医)にとっては、たとえば軽躁状態は言動を観察すると容易に診断がつき、社交不安障害であれば対人場面での緊張感から診断ができるように、リワークプログラムは診断を確実にできる場(復職支援プログラムは診断を確実にできる場)でもあります。このように本人にとっても職場復帰支援スタッフ(リワーク支援スタッフ)やメンタルヘルス科専門医師(精神科医師・心療内科医師)にとっても、対人関係の課題を扱う練習の場としての役割がリワークプログラムのベース(復職支援プログラムのベース)です。とりわけ、「集団リワークプログラム(集団復職支援プログラム)」においては、その点を意識したリワークプログラムづくり(復職支援プログラムづくり)が必要と言えます。
リワークプログラムは通常少なくとも数人で実施(復職支援プログラムは通常少なくとも数人で実施)されます。リワークプログラムに参加(復職支援プログラムに参加)すると、同じような悩みを持ち、復職という同じ目的(リワークという同じ目的)を持つ仲間を得て、相互に支え合うことができます。しかしながら、同じメンタルヘルス疾患で悩んでいるリワークプログラムの仲間(復職支援プログラムの仲間)は悩みを相互に理解し共有して助け合える一方で、なかなか日常で得られない友人であるため相互の距離を取りにくい場面も出てきます。社会人としての適度な距離感を持ちつつリワークプログラムの仲間としての関係性(復職支援プログラムの仲間としての関係性)を維持していくことは重要であり、そのために復職支援スタッフが必要に応じて介入(リワークスタッフが必要に応じて介入)をしなければならない場面もあります。それでも、リワークプログラムの仲間との体験(復職支援プログラムの仲間との体験)は復職後(リワーク後)にも大きな支えとなり、リワークプログラムに継続した参加(復職支援プログラムに継続した参加)を果たすことにより得られる大きな収穫です。
②対象を限定したリワークプログラム(対象を限定した復職支援プログラム)
⇒気分障害圏や不安障害圏のような一定の範囲のメンタルヘルス疾患のリワークプログラム利用者に限定(復職支援プログラム利用者に限定)して、リワークプログラムを実施(復職支援プログラムを実施)している復職支援施設が多い(リワーク施設が多い)です。いろいろなメンタルヘルス疾患が混在するとリワークプログラムの運営(復職支援プログラムの運営)が複雑になり、復職支援スタッフにとっては運営上の困難(リワークスタッフにとっては運営上の困難)が生じます。メンタルヘルス疾患を限定すれば集団の凝集性は高くなり、リワークプログラム利用者(復職支援プログラム利用者)と復職支援スタッフ双方(リワークスタッフ双方)にとってきわめて大きい利点となります。
また、リワークプログラムの対象者(復職支援プログラムの対象者)を休職中の者に限定して復職支援(休職中の者に限定してリワーク)する目的とするのか、または、失職中のリワークプログラム利用者(失職中の復職支援プログラム利用者)も受け入れて就労支援も行うかによっても、集団リワークプログラムは大きく影響(集団復職支援プログラムは大きく影響)を受けます。したがって、気分障害などメンタルヘルス障害で現在休職中のリワークプログラム利用者に限定(現在休職中の復職支援プログラム利用者に限定)し、リワークプログラムの目的(復職支援プログラムの目的)を復職および再休職の予防(リワークおよび再休職の予防)とすれば、リワークプログラムを実施する上で有利(復職支援プログラムを実施する上で有利)に働くと言えます。一部の復職支援施設(一部のリワーク施設)では失職中で就労を目的としたリワークプログラム利用者(就労を目的とした復職支援プログラム利用者)を受け入れている復職支援施設(受け入れているリワーク施設)もあるものの、このようなことから失職後一定期間のリワークプログラム利用者(失職後一定期間の復職支援プログラム利用者)に限って受け入れている復職支援施設(限って受け入れているリワーク施設)が多いです。
上記のように、均一な集団であることはリワークプログラムの内容(復職支援プログラムの内容)を規定する因子として大きく、また、復職支援スタッフの負荷(リワークスタッフの負荷)を減らし、リワークプログラムの円滑な運営(復職支援プログラムの円滑な運営)を行う上でも欠かせない点です。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。