2018年09月21日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の108回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(ⅩⅧ)
◎リワークプログラム(復職支援プログラム)❻
■メンタルヘルス専門医療機関での戦略的リワークプログラム(戦略的復職支援プログラム)
⇒医療機関におけるリワークプログラム(医療機関における復職支援プログラム)、地域障害者職業センターにおけるリワーク支援(職場復帰支援)、そしてEAP事業者におけるリワークプログラム(EAP事業者における復職支援プログラム)それぞれの特徴を活かしつつ、某メンタルヘルス専門医療機関内にある復職支援施設(リワーク施設)で開発されたのが、戦略的リワークプログラム(戦略的復職支援プログラム)です。戦略的リワークプログラムが目指す(戦略的復職支援プログラムが目指す)のは、「ストレスをメンタルヘルスと成長の糧とできる社会の実現」です。戦略的リワークプログラムの特徴(戦略的復職支援プログラムの特徴)として、メンタルヘルス専門医療従事者(復職支援スタッフ(リワークスタッフ))による内部EAP体制、職場復帰過程(リワーク過程)の可視化と標準化、および「育て鍛える」復職支援(「育て鍛える」リワーク)をあげることができます。
①内部EAP体制
⇒わが国のEAP事業者の多くは、プライバシー(個人情報)の保護および費用的な理由から、企業と一定の距離をおく外部EAP体制をとっています。これに対して、戦略的リワークプログラムでは臨床心理士3名が契約企業に常駐(戦略的復職支援プログラムでは臨床心理士3名が契約企業に常駐)し、メンタルヘルス科専門医(精神科医・心療内科医)が週4コマ(1コマ3時間)勤務するという内部EAP体制を採用しました。その目的は、メンタルヘルスや復職支援の専門家(リワークの専門家)がいつもいるという文化を企業の中に作ることに加えて、内輪になるためでもありました。メンタルヘルス障害をもつ労働者の復職支援(労働者のリワーク)を行うためには、メンタルヘルス医学や産業医学の知識に加えて、職場環境に関する認識が不可欠です。具体的には就業規則はもとより、言語化されにくい社内風土や価値観、さらに企業が直面するビジネス状況などについて認識しておく必要性です。これらの認識は、内輪となり企業の人々と日常的に交流する中で獲得できます。また、日常的な交流は、復職支援のための職場管理監督者、人事担当者、産業医、産業保健スタッフとの関係構築(リワークのための職場管理監督者、人事担当者、産業医、産業保健スタッフとの関係構築)にも役立ちます。こうした知識と関係性を得ることによって、企業の実情に即した企業とのコーディネート(復職調整(リワーク調整))を行うことができ、連携もスムーズになります。また、内部EAP体制の大きな利点として、休職に至った経緯について労働者本人からだけでなく職場や人事担当者などからも情報を得られることです。休職に至った経緯を労働者本人が常に正確に認識できているとは限らず、周囲の認識と大きく異なっていることが少なくないです。換言すれば、企業側は見当はずれの認識で職場復帰してくる労働者(リワークしてくる労働者)に対してヤキモキすることが少なくないです。ヤキモキしつつも、そのことを労働者にどう伝えてよいかわからず困っているのです。内部EAP体制をとることで、メンタルヘルス科専門医師(精神科医師・心療内科医師)は複数の情報を得てより客観的な視点をもつことができます。労働者本人との話し合いで、職場からみた認識を話題に出し検討することもできます。医学的な評価も加味しながらより実効性のあるメンタルヘルス不調の再発予防策を策定することが可能になります。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。