2018年08月30日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の96回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(Ⅵ)
◎「復職支援手引き」の概要(「リワーク手引き」の概要)と具体的な復職支援の進め方(リワークの進め方)❹
⇒③<第3ステップ>
職場復帰支援(リワーク支援)の核となるステップです。職場復帰の可否(リワークの可否)判定と職場復帰プラン(リワークプラン)の策定に分けることができます。
産業医は、主治医(精神科医・心療内科医)からの復職に関する(リワークに関する)意見書の内容を確認した上で、当該労働者本人と面接します。また、本人との面接に先がけて復職予定職場(リワーク予定職場)の状況を調査し、受け入れ準備ができているかどうかを確認します。あらかじめ本人に、職場復帰の時期(リワークの時期)が近づいたら職場に一報を入れるように伝えておけば、職場復帰の過程(リワークの過程)が円滑に進みやすくなります。
産業医は、主治医(精神科医師・心療内科医師)および職場、場合によっては家族からの情報を整理したうえで、本人との面接に臨みます。その際には、できるだけ先入観にとらわれないよう留意します。職場復帰の可否判定(リワークの可否判定)のために最低限必要な情報を表1に示しました。主治医(心療内科医・精神科医)の復職に関する意見書(リワークに関する意見書)に、メンタルヘルス症状の軽減や生活リズムの回復のことが書かれていれば、それを一つひとつ確認していきます。細かい記載がない場合でも、今回の休業では、どのようなことが仕事に強く影響し、現在どの程度メンタルヘルス不調が回復してきているかを具体的に質問していく必要があります。漠然とした聴き方では、本人からは自発的に語られない事柄も多いです。休業前の本人のメンタルヘルス状態を把握しておれば、面接時の表情や動作なども、メンタルヘルス状態の回復を評価する重要な手掛かりとなります。
◇表1 復職判定(リワーク判定)にあたって産業保健スタッフが最低限必要な情報
『■本人に関する事項
ーー主治医(心療内科医師・精神科医師)の意見
ーーメンタルヘルス症状などの改善度
ーー生活リズムの回復度
ーー日中の過ごし方(運動、読書、パソコンなど)
ーー疲労度、睡眠状況
ーー薬剤の副作用
ーーメンタルヘルス疾患の発症、増悪の要因(特に仕事関連)
(可能な範囲で)
ーー本人の復職(本人のリワーク)・職場への思い
ーー肉親(配偶者)の復職(肉親(配偶者)のリワーク)・職場への思い
ーーメンタルヘルス疾患の再発・再燃に関する脆弱性
(可能な範囲で)
■職場に関する情報
ーー上司・同僚の復職(上司・同僚のリワーク)に関する考え
ーー上司・同僚のメンタルヘルス不調に対する理解度
ーー元の業務内容(負荷)
ーー現時点での繁忙状況
ーー繁閑の変動
ーー元の職場環境(人間関係を含む)
ーー業務上の配慮に関する可能性(作業負荷の軽減、残業の制限など)
ーー指示命令系の現状
ーー職場環境改善の実施状況
(必要な場合)』
どの程度のメンタルヘルス不調の回復をもって職場復帰を認めるか(リワークを認めるか)については、事業場の諸事情に加えて、当該労働者の職位、職種などによっても異なってくるが、不公平感が生じないように、おおよそ復職の目安(リワークの目安)を決めておくとよいです。「メンタルヘルス症状がほぼ消退していること(あるいは、メンタルヘルス症状が残存していても、周囲に影響を与えない程度に自己コントロールができること)」と「通常勤務の出退社が無理なく可能であること」は、どの職場でも復職への必須要件(リワークへの必須要件)と言えるでしょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。