2018年08月17日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の87回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖「心の健康問題(メンタルヘルス不調)により休業した労働者の職場復帰支援(リワーク支援)の手引き」(復職ガイドライン(リワークガイドライン))〗(Ⅴ)
労働者のメンタルヘルス管理・労務管理、特にメンタルヘルス不調者の復職において(リワークにおいて)は人事労務を中心として多様な職種がかかわります。お互いの主張が対立することも少なくないです。産業医は職場における産業保健の要として、管理監督者による労務管理や環境調整、産業保健スタッフによる労働者の復職支援(労働者のリワーク)、さらには主治医(精神科医・心療内科医)との連携等に関して指導的な役割が求められています。
①休職していたメンタルヘルス不調者の復職は、原則として(リワークは、原則として)「復職支援の手引き(リワークの手引き)」にある5つのステップに従って順次進めていきます。
②この復職支援の過程(リワークの過程)で産業医は、主治医(精神科医師・心療内科医師)による復職可能診断書(リワーク可能診断書)を踏まえて労働者本人と面談し、メンタルヘルス疾患の疾病性の改善に疑問がある場合には主治医(心療内科医・精神科医)との意見交換を行ったうえで復職可否(リワーク可否)について事業者に意見するが、復職の最終判断(リワークの最終判断)は事業者(人事労務担当者)が行います。
③産業医は管理監督者による労務管理や環境調整、産業保健スタッフによる労働者の復職支援等に関して(労働者のリワーク等に関して)適確な指導・行動が求められています。
■復職の阻害要因(リワークの阻害要因)
⇒メンタルヘルス不調からの復職においては職場の積極的な受け入れ(リワークにおいては職場の積極的な受け入れ)、同僚の復職支援(同僚のリワーク)が不可欠であるが、職場側の復職阻害要因(職場側のリワーク阻害要因)として、上司がメンタルヘルス不調の完治を要求(「薬を飲まなくていいくらいまで戻ってくるな」と拒絶)したり、「就業上の配慮は無理」「あてがう適当な業務がない」「メンバーへ一層負担がかかる」などと突き放したり、セクハラ・パワハラで休職したのに該当者に自覚がなかったり、など職場風土に大きな問題があることがあげられます。仮に、職場の受け入れが問題となり、再度休職に至ったり、最終的に退職に追い込まれたりする場合には民事訴訟のリスクともなりうるため、慎重な対応が必要です。
一方、労働者側にはメンタルヘルス疾患の疾病性の問題があります。休職に至ったメンタルヘルス不調者の診断名がうつ状態などメンタルヘルス不調という場合が多いが、必ずしもうつ病などメンタルヘルス疾患ではなく、適応障害、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、発達障害が背景にある場合も少なくないです。メンタルヘルス科専門医師(心療内科医師・精神科医師)らは職場における休職・復職の背景調査(リワークの背景調査)を行い、休職を繰り返すほど職場要因が薄れ、メンタルヘルス疾患の疾病性の要因が大きくなると報告しています。1回目の休職・復職(1回目の休職・リワーク)では、職場環境の調整、本人の就業・対人スキルの向上などが重要であるが、複数回の休職・復職(複数回の休職・リワーク)では主治医との連携をより強化していかねばならないです。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。