2018年08月08日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の83回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖「心の健康問題(メンタルヘルス不調)により休業した労働者の職場復帰支援(リワーク支援)の手引き」(復職ガイドライン(リワークガイドライン))〗(Ⅰ)
メンタルヘルス不調の気づきや職場環境改善(一次予防)を主たる目的として、平成27(2015)年12月からストレスチェック制度が始まったが、休職していたメンタルヘルス不調者の復職(三次予防)(リワーク(三次予防))は以前から常に産業保健の中心課題の1つでした。平成24(2012)年、労働者健康状況調査によると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休職し、または退職した労働者がいる事業場は8.1%となっています。
メンタルヘルス不調者の復職について(リワークについて)、厚生労働省は「心の健康問題により休業(メンタルヘルス不調により休業)した労働者の職場復帰支援の手引き(リワーク支援の手引き)」(復職ガイドライン(リワークガイドライン))を出しています。この復職支援の手引き(リワークの手引き)の中で、円滑な職場復帰(円滑なリワーク)のためにはリワークプログラム(復職支援プログラム)の策定や関連規定の整備等により、休業から復職までの流れ(リワークまでの流れ)をあらかじめ明確にしておくことが必要とされ、復職支援の流れ(リワークの流れ)が示されています。次回以降に各段階における、職制・産業保健スタッフのとるべきあるいは避けるべきアクションや判断について述べたいと思います。
◇図1 職場復帰支援の流れ(リワーク支援の流れ)
『<第1ステップ>メンタルヘルス疾患休業開始および休業中のメンタルヘルスケア
ア.メンタルヘルス疾患休業開始時の労働者からの診断書(メンタルヘルス疾患休業診断書)の提出
イ.管理監督者によるメンタルヘルスケアおよび事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルスケア
ウ.メンタルヘルス疾患休業期間中の労働者の安心感の醸成のための対応
エ.その他』
⇓
『<第2ステップ>主治医(精神科医・心療内科医)による職場復帰可能(リワーク可能)の判断
ア.労働者からの職場復帰の意思表示(リワークの意思表示)と職場復帰可能の判断(リワーク可能の判断)が記された復職可能診断書(リワーク可能診断書)の提出
イ.産業医等による精査
ウ.主治医(精神科医師・心療内科医師)への情報提供』
⇓
『<第3ステップ>職場復帰の可否(リワークの可否)の判断および職場復帰支援プラン(リワーク支援プラン)の作成
ア.情報の収集と評価
(ア)労働者の職場復帰(労働者のリワーク)に対する意思の確認
(イ)産業医等による主治医(心療内科医・精神科医)からの意見収集
(ウ)労働者のメンタルヘルス状態等の評価
(エ)職場環境等の評価
(オ)その他
イ.職場復帰の可否についての判断(リワークの可否についての判断)
ウ.職場復帰支援プランの作成(リワーク支援プランの作成)
(ア)職場復帰日(リワーク日)
(イ)管理監督者による就業上の配慮
(ウ)人事労務管理上の対応
(エ)産業医等による医学的見地からみた意見
(オ)フォローアップ
(カ)その他』
⇓
『<第4ステップ>最終的な職場復帰の決定(リワークの決定)
ア.労働者のメンタルヘルス状態の最終確認
イ.就業上の配慮等に関する意見書の作成
ウ.事業者による最終的な職場復帰の決定(最終的なリワークの決定)
エ.その他』
⇓
【職場復帰(リワーク return to work)】
⇓
『<第5ステップ>職場復帰後(リワーク後)のフォローアップ
ア.メンタルヘルス疾患の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認
イ.勤務状況および業務遂行能力の評価
ウ.職場復帰支援プランの実施状況(リワーク支援プランの実施状況)の確認
エ.治療状況の確認
オ.職場復帰支援プランの評価(リワーク支援プランの評価)と見直し
カ.職場環境等の改善等
キ.管理監督者、同僚等への配慮等』
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。