2018年06月11日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の57回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●1年に1回はストレスチェックを
私が職場復帰をされた(リワークをされた)患者様にお勧めしているのは年1回のメンタルヘルス診断を行うことです。労働安全衛生法の改正に基づき2015(平成27)年12月から労働者数50人以上の事業場でストレスチェックをすることが義務化されました。
ストレスチェックの義務化などの影響もあり、職場でメンタルヘルスケアが行われることが一般的になりつつあります。その一方で、よほど大きな会社でない限り、産業医としてメンタルヘルス専門医(精神科医・心療内科医)を配置しているケースはまだ少なく、職場復帰に向けた(リワークに向けた)必要なアドバイスを適切な時期に受けられる労働者は決して多くありません。その結果、メンタルヘルス専門家の医師(精神科医師・心療内科医師)から適切なアドバイスを受けていれば職場復帰が容易にできた(リワークが容易にできた)ケースやうつ病などメンタルヘルス疾患の再発をしなくて済んだケースは多く見られます。
もちろん、うつ病などのメンタルヘルス疾患の原因やメンタルヘルス症状はさまざまで、職場復帰に向けてやらなければならないこと(リワークに向けてやらなければならないこと)も人それぞれ異なりますが、自分にも当てはまる部分や、明日からでもやってみようと思えることがあれば、ぜひ明日からと言わず、今日からでも実行していただければ幸いです。
職場復帰というゴール(リワークというゴール)にたどりつく道のりは何通りもありますが、一つひとつ着実に実行していただければ、少しずつでもその職場復帰という見えないゴール(リワークという見えないゴール)に近づくことができると信じ、励んで欲しいと思います。
患者様の中にはよく、「うつ病などメンタルヘルス不調になった私はもう会社では必要とされていませんから」と上記うつ病などメンタルヘルス不調にかかった経験を否定的にとらえる方も少なくありません。しかし、上記うつ病などのメンタルヘルス不調を患った多くの労働者が無事に職場復帰を果たし(リワークを果たし)、現在でも会社で自分に合った働き方をされています。その方たちは「職場うつ病などメンタルヘルス不調にかかった私」から「職場うつ病などのメンタルヘルス不調を経験した私」として、もう一度自分の居場所を確立されているのです。
なかには「自分が経験した、この辛いうつ病などメンタルヘルス障害を部下には絶対に味わわせたくない」と思い、部下の労務管理を徹底的に行い、職場でうつ病などメンタルヘルス障害にかかる労働者が発生しないように尽力されている方もいます。ぜひとも、職場でうつ病などメンタルヘルス障害を経験した方だからこそ言えること、職場でうつ病などのメンタルヘルス障害を乗り越えたからこそ成せることを大切にしていただき、再び職場でご活躍していただけることを心より願っております。
さて、職場復帰をされた患者様(リワークをされた患者様)は1年に1度このストレスチェックを受けることができます。ぜひストレスチェックを活用していただければと思います。会社の方針によりストレスチェックの質問内容は異なりますが、以下の内容を含む点で共通しています。
①職場における当該労働者の心理的ストレスの原因に関する項目
②心理的ストレスによるメンタルヘルス症状に関する項目
③職場における他の労働者による当該労働者への職場復帰支援(リワーク支援)に関する項目
このストレスチェックは受検した本人が同意をしなければ職場に結果が通知されることはありませんのでご安心ください。毎年受検することによってストレス状況やメンタルヘルス状態の変化がわかり、早期の対処が可能となります。
なお従業員数が50人未満の会社ではストレスチェックが実施されない場合もありますので、厚生労働省が推奨しているストレスチェック(57項目版)の②メンタルヘルス症状に該当する項目を参照して下さい。厚生労働省の基準によると合計点数が77点以上の時には高ストレス状態にあるという判断がなされる可能性があります。また前年と比較して得点が上昇している場合にも要注意です。必要に応じて主治医(心療内科医・精神科医)と相談するようにしましょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。