2018年05月12日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の46回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●職場復帰に向けて(リワークに向けて)、主治医(精神科医・心療内科医)の協力を得よう
職場復帰をする(リワークをする)には、まずは主治医(精神科医師・心療内科医師)からの職場復帰可能(リワーク可能)な旨の復職診断書(リワーク診断書)が会社に提出されなければなりません。逆に言えば、主治医(心療内科医・精神科医)がまだ職場復帰は早い(リワークは早い)と考えているのに、会社側の意向で職場復帰が決まってしまう(リワークが決まってしまう)ということはないのです。つまり、職場復帰のための最初の鍵(リワークのための最初の鍵)は主治医(心療内科医師・精神科医師)が握っていることになるので、まずは主治医と職場復帰の時期(リワークの時期)や、どの程度の負荷から職場復帰をした方が良い(リワークをした方が良い)のかなどを十分に相談する必要があります。
ここで重要なことは、仕事の内容や職場の制度について主治医に十分な情報を提供することです。自分がどのような仕事に関わっていて、その仕事はいつが繁忙期なのか、職場復帰の場合(リワークの場合)に軽減勤務を行える制度があるのかなど、仕事の内容や職場の制度は患者様によって千差万別なので、多くの患者様を抱える主治医には自分の口から説明しなければ、職場復帰の可否(リワークの可否)の判断をする上で重要な点が見逃されてしまいます。例えば、自分が会社の経理をやっているのであれば、決算期は職場が多忙を極める時期でしょうから、その時期の職場復帰(その時期のリワーク)は避けた方が良いということになるでしょう。
また、職場復帰後(リワーク後)に半日勤務などの時短勤務ができるのか、職場復帰の条件として所定労働時間勤務ができる(リワークの条件として所定労働時間勤務ができる)ことが求められているのかなどによっても、主治医が職場復帰可能の判断(リワーク可能の判断)をするタイミングが変わってきます。
ただし職場側からすると、会社の制度が主治医に十分に伝わっていないと思われるような復職可能診断書(リワーク可能診断書)がたくさん提出されます。例えば、会社の制度として職場復帰当初(リワーク当初)には勤務内容は軽減するものの8時間勤務(残業はなし)ができることが職場復帰の条件(リワークの条件)となっている会社にも拘わらず、主治医からは「半日勤務から職場復帰可能(半日勤務からリワーク可能)です」といった復職可能診断書が提出(リワーク可能診断書が提出)されるのです。このような場合、会社は「当社の職場復帰の条件(当社のリワークの条件)を満たさないので職場復帰は不可(リワークは不可)」と判断せざるを得なくなってしまうのです。ですから、日ごろの診察のときから、主治医には自分の職場の制度について、「主治医はこんな内容なら知っているはず」などと思い込まず、できる限り正確な情報提供をするように心がけましょう。
このような職場に関する情報提供を行った上で、具体的な職場復帰の時期(具体的なリワークの時期)を決定していくことになりますが、復職時期の決定に関して(リワーク時期の決定に関して)もいくつか注意が必要です。「職場復帰をしたい(リワークをしたい)」という意欲が出てきた時期と職場復帰のタイミング(リワークのタイミング)が一致する場合もあるのですが、主治医はそれ以外にもさまざまなメンタルヘルス症状や本人の性格的な特性を踏まえた上で職場復帰の時期を決定(リワークの時期を決定)していきます。「自分はもう復職したい(自分はもうリワークしたい)のに、主治医が復職可能診断書を書いて(リワーク可能診断書を書いて)くれない」と話される患者様もいますが、本人の言いなりに復職可能診断書を書いてくれる主治医(リワーク可能診断書を書いてくれる主治医)が良い主治医というわけではありませんので、注意をしてください。主治医の「少し焦っていませんか?職場復帰はもう少し待ちましょう(リワークはもう少し待ちましょう)」という冷静な判断が再休業を予防することもあるのです。また、「そろそろ診断書の期限が切れるので、職場復帰をしたい(診断書の期限が切れるので、リワークをしたい)と思っています」「来月になると病気休暇から病気休職になってしまい、休業補償が減額されてしまうため、今月末には職場復帰をしたい(今月末にはリワークをしたい)のです」と、診断書や会社の制度の変わり目などを契機に職場復帰の希望(リワークの希望)をもらす患者様もいますが、これは本末転倒な話です。あくまで、うつ病などメンタルヘルス不調が良くなったので職場復帰を果たす(リワークを果たす)のだということを忘れないようにしてください。
そして、職場復帰可能の診断書が発行(リワーク可能の診断書が発行)されたときには、主治医に職場の上司や産業保健スタッフなどの関係者とも一度面談をしてもらうと良いでしょう。主治医からメンタルヘルス不調の説明や今後の治療計画・通院予定、さらには就業上必要な配慮などについて一通り説明してもらえれば心強いですし、職場の関係者にとっても職場復帰に向けた安心材料(リワークに向けた安心材料)となります。ときに、「職場のことはわからないから、職場復帰のスケジュール(リワークのスケジュール)などは産業医と相談するように」と産業医任せにしてしまう主治医もいるようですが、そのような場合には職場のことを主治医にきちんと情報提供して、その上で「主治医としてはどのような形で職場復帰することが望ましい(リワークすることが望ましい)と考えているのか」について尋ねたほうが良いでしょう。
『◎主治医に伝えておきたい職場復帰時(リワーク時)の会社の制度チェック表
1.軽減勤務制度の確認
2.仕事の内容(仕事量や繁忙期・出張の有無など)
3.職場異動の可否』
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。