2018年04月07日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の33回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎柔軟なメンタルヘルスを生み出すトレーニング
今まで見てきたとおり、解決できないような困難な状況が発生したときにもストレスと上手に付き合っていくには、ただ単にそのストレスの原因となっている状況を解消しようと、がむしゃらに努力し続けるだけではいけないのです。また、いつまでも気分転換だと言って問題から逃げ続けるだけでもいけません。一番重要なことは、自らのメンタルヘルスを柔軟に働かせて、その状況を解決の方向へ導いていくことになります。
例えば、どう考えても今日中に終えることのできない仕事を依頼されたときに、終わらないと思いながら必死に徹夜をしたり、どうせ終わらないならと諦めて飲み歩いたりするだけではいけないのです。ときにはメンタルヘルスを柔軟にして「本当に明日までにやらなければ、職場にとって取り返しのつかないことになってしまうのか」と再考してみたり、「明日までに最低限、内容の60%は仕上げなければならないから、そこまでは頑張ろう」と目標設定を改めたり、さらには「本当に、自分ひとりでやらなければならないのだろうか」と適切な援助を求め、ストレスの状況を緩和することが、どの問題でも必ず解決できるわけではない現代社会にとって不可欠なのです。
しかしながら、このような柔軟なメンタルヘルスは、日ごろからトレーニングを行わなければ、獲得することができません。特に今まで、職場でコツコツと努力し、多くの功績を収めてきたまじめで勤勉な方の多くは、「このようにしたら、うまく問題解決ができる」という必勝パターンを持っています。職場で起こる多くのトラブルはこの必勝パターンにより、上手に解決することができ、またそれによって自分の必勝パターンが確かなものであると自信を深めます。しかし、この必勝パターン通りにやったのに、うまくいかない事態に遭遇すると、いつまでもその必勝パターンにこだわり続けてしまい、結果として失敗します。そして、今まで築き上げてきた自信が音を立てて崩れ落ち、強いストレスを感じることになり、うつ病などメンタルヘルス疾患の発症につながることも少なくないのです。つまり、必勝パターンを持つこと自体は重要なことなのですが、万一、必勝パターンが崩れてしまったときに、他の手段によって問題を解決することができる、頭の軟らかさを日ごろから鍛えておくことが必要なのです。
そこで、うつ病などメンタルヘルス疾患の患者様にお勧めしているメンタルヘルスの柔軟性を取り戻すためのトレーニングである「メンタルヘルスのアンチエイジング」について、紹介をすることにしましょう。「アンチエイジング」と言えば、肌の老化に伴うしみ・そばかすの増加や保水力の低下による硬化などに対し、肌のコンディションを若い状態に保つ、もしくは若い状態を取り戻すための治療法などが有名です。それを「メンタルヘルス」の場合に置き換え、多くの習慣や癖、経験によって凝り固まったメンタルヘルスを柔軟なものにするトレーニングを「メンタルヘルスのアンチエイジング」とし、そのトレーニングを推奨しているのです。それでは次回から、「メンタルヘルスのアンチエイジング」の方法と効能を詳しく説明していくことにしましょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。