2018年03月31日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の30回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●職場復帰に向けた(リワークに向けた)「メンタルヘルスのトレーニング」
今まで説明してきた生活リズムの正常化や身体機能やメンタルヘルス機能回復のためのトレーニングに関しては、職場復帰のための準備(リワークのための準備)として無意識のうちに取り組まれている方も少なくないでしょう。しかし、このリハビリ期において、自分で意識的に取り組まなければならない大きな課題が、職場復帰に向けた(大きな課題が、リワークに向けた)『メンタルヘルスのトレーニング』なのです。
仕事をしながら、うつ病などメンタルヘルス不調を患った方の多くは「仕事の量が多かったから」「自分の能力では与えられた業務をこなしきれなかったから」「職場の人間関係が悪くて」など、職場に何かしらの原因を感じていることでしょう。もちろん、職場は業務の遂行に伴う身体的疲労やストレスなどが、過度に蓄積して労働者のメンタルヘルスを損なうことがないよう注意する義務(これを「安全配慮義務」と呼びます)を負っているので、皆様が快適に健康で働けるような職場作りをする努力をしなければいけません。しかしながら、職場はあくまで労務提供の場ですから、労働者にとって快適な職場環境づくりに精力を注いで、本来の仕事がおろそかになるわけにはいかないのです。つまり、職場では何らかのノルマが課されることや一見自分の能力だけではこなしきれない仕事を任せられること、さらには、気が合わない人と一緒に仕事をすることなど、排除できないストレスが常にたくさん存在しているのです。
このように多くのストレスが当然のように存在している職場に復職する(職場にリワークする)わけですから、再び職場でストレスにさらされたときに対応できるようなトレーニングを行わなければ、せっかく休養と薬物療法によって回復したうつ病などメンタルヘルス不調がぶり返してしまうことが予想されるのです。職場が変わってくれることはあまり期待できない以上、皆様が職場のストレスと上手に付き合えるように変わっていくしかありません。まさにそれが、「メンタルヘルスのトレーニング」と言えるものなのです。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。