2018年03月06日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の24回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●生活リズムを把握しよう
職場復帰を考える(リワークを考える)上で、生活のリズムを整えることが何より重要なことです。やはり職場復帰をする(リワークをする)からには、出社時刻に間に合うように起床し、十分な睡眠が取れる時間には眠りにつけることが必要になってきますし、職場復帰後(リワーク後)は自分のペースで昼寝はできないので、日中の過ごし方も要治療期(治療専念期)のように自分の気の向くままに過ごせるわけではありません。
そこで、このリハビリ期には、「活動記録シート」を用いて、自らの生活リズムを客観的に確認することから始めてみましょう。ここでのポイントは活動記録に加えて、その日のメンタルヘルス症状や日中の活動量、さらには食欲などを数値化して記入することで、1週間のメンタルヘルス症状の波や前の週と比較した全体的な変化などを視覚的に捉えることができ、職場復帰のための目標(リワークのための目標)が明確になるのです。
もちろん、この段階で完璧に職場復帰ができる(リワークができる)ような生活リズムである必要はありません。リハビリ期を通じて、少しずつ職場復帰に差し支えのない(リワークに差し支えのない)ような生活リズムを確立していくことが重要なのです。このリハビリ期においては、今後で紹介する「身体機能回復のためのトレーニング」や、「メンタルヘルス機能回復のためのトレーニング」を実施することで、日中の活動量が増加し、夜間には質の良い睡眠ができるようになってくるので、焦らず、じっくりとリハビリに取り組むことが重要です。
●活動記録シートの使い方
①簡単にコメントを記載(すべてを書き込もうとしない)
活動記録シートは長期間に渡ってつけるものなので、細かな日々の生活を正確に再現することに神経質になっていると、負担になって、つけることが嫌になってしまったりする可能性があります。夜、寝る前に自分の1日の生活を簡単に思い返して、睡眠時間(前の日の夜から、その日の朝にかけての睡眠時間)や食事時間・外出時間などが大まかにわかるように記載してみましょう。
②自らを評価する
うつ病などメンタルヘルス疾患はメンタルヘルス症状が良いときと悪いときの波がありながらも、少しずつメンタルヘルス不調が回復に向かう病気です。その日のメンタルヘルス症状や活動量・食欲などを1日の最後に振り返って、5段階評価でその日を評価してみましょう。
・メンタルヘルス症状→メンタルヘルス症状が非常に良かった日を5点、メンタルヘルス症状が沈んでしまった日を1点。
・活動量→よく動けた日を5点、家の中で寝てばかりいた日を1点。
・食欲→食欲があり、おいしく食事ができた日を5点、何も食べる気がしなかった日を1点。
これをつけることで、「最初は1点とか2点ばかりだったけど、最近は3点が増えたなぁ」といった具合にメンタルヘルス不調の回復を実感できるでしょう。
③備考欄を有効活用
何か自分が気になったことや、その日に感じたことなどは備考欄に残しておきましょう。言葉にすると自分の心の中でモヤモヤと感じていたものが整理できることもありますし、後で振り返ったときに「あのときは眠れなくて悩んでいたけど、今はそんなことはないな」など、メンタルヘルス不調の回復を感じることもできるでしょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。