2018年02月28日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の21回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】■職場の療養制度、療養中の給与の確認
療養制度は、職場の規模や考え方により大きく異なり、一般的には大企業や公務員では療養制度が手厚く設計されており、中小企業になると十分な制度設計がされていない場合が多く見受けられます。つまり、療養制度に関しては各職場の就業規則などを参照し、詳しくは人事・労務担当に確認する必要があります。
一般的に病気療養の制度として、「通常の有給休暇を使う場合」と「社内の病気休暇・病気休職の制度を用いる場合」があります。有給休暇に関しては、労働基準法により使用者が労働者に与えなければならない給与が出る休暇なので、これを利用すれば経済的な心配をすることもなく療養することができます。有給休暇の積み立て制度があるような会社では、ある程度、長期間の療養期間を有給休暇で賄うことができますが、そのような制度のない会社では、年間20日間程度の有給休暇では病気療養期間をカバーすることができなくなってしまいます。
そうなると次に「病気休暇や病気休職の制度が存在するかどうか」を会社に確認することになります。病気休暇は労働基準法上の定義ではありませんので、制度が存在する場合には会社の就業規則により取得要件や賃金の支払いの有無が決められています。もし、そのような規定がない場合には、欠勤扱いでその間は無給ということになります。
病気休職もほぼ同様の制度ですが、業務上の傷病以外の理由によって、比較的長期間欠勤せざるを得ない場合において、使用者が労働契約は存続させたまま労働義務を一定期間免除することをいい、この休職期間は賃金の支払いの有無は別として職場において身分が保証されます。この制度も労働基準法などの法令に定めがないため、制度を設けるか否かは職場の選択によりますし、賃金の支払いの有無も職場によって異なるということになります。ちなみに国家公務員の場合には、病気休暇を取得すると90日間までは給与が全額支給され、90日間を超えて取得する場合には、俸給が半減されます。また、病気休暇が長期間に及ぶような場合には、病気休職に切り替えられることがあり、病気休職の場合には俸給が1年間で8割保証され、最長で3年間の休職期間が設けられています。地方公務員の場合には地方公共団体によって異なりますが、多くはこの国家公務員の規定に近い制度が設計されているようです。
■自宅療養中の会社の窓口
療養中でも会社の事務手続きや傷病手当金の手続きなど、諸手続きを行わなければなりません。また、会社の制度について何かわからないことがあった場合に、さまざまな問い合わせをしなければならないこともあるでしょう。そのため、休業中の事務の窓口を確認しておくと書類のやり取りなどがスムーズに行われ、手続きミスにより傷病手当金が入るのが1ヵ月遅れるというような事態を避けることができます。
また、会社によっては社内にメンタルヘルス相談の窓口があったり、診療室や保健室などに精神科医・心療内科医やカウンセラーが配置されていたりすることもあります。また、社内にはそのような相談機関がなかったとしても、福利厚生の一環としてカウンセリングルームなどの外部機関と契約していて、メンタルヘルスに関する相談を受けることができる場合もありますので、メンタルヘルスの相談窓口についても確認しておくと良いでしょう。
■職場復帰時(リワーク時)の手順
職場復帰に関して(リワークに関して)は、主治医の「職場復帰可能(リワーク可能)」の診断書が提出されれば職場復帰が認められる(リワークが認められる)手続きが簡単な職場もあれば、主治医の復職可能診断書(リワーク可能診断書)をもとに産業医が面談を行う職場、さらには産業医の面談後に職場復帰判定(リワーク判定)会議のような形が取られ、職場復帰が決定(リワークが決定)される慎重な職場もあり、職場復帰時の手順(リワーク時の手順)も職場によって制度が大きく異なるので、確認しておくようにしましょう。と言うのも、慎重な職場の場合、「職場復帰可能」の診断書が提出(「リワーク可能」の診断書が提出)されてから、産業医面談の予約までに2週間、その後の復職判定会議(リワーク判定会議)までに1ヵ月といった具合に非常に長期間、職場復帰の足止め(リワークの足止め)を食らう場合もありますので、職場復帰までの手続き(リワークまでの手続き)が煩雑な場合にはあらかじめ確認をするように心がけましょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。