2018年02月10日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の7回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】『【第1ステージ】要治療期(治療専念期)
うつ病などメンタルヘルス不調の治療を開始したばかりで、何もやる気が起きずに、気分の落ち込みも著しい時期です。』
睡眠覚醒リズムも安定せずに、不眠や昼夜逆転などが起こりやすいのが特徴です。自律神経失調症と呼ばれる、頭痛やめまい・倦怠感などの身体的な症状を伴うこともよくあります。この時期に職場復帰を考える(リワークを考える)ことは時期尚早で、まずはじっくり主治医の指示に従い、自宅療養と薬物療法を行う必要があります。
『【第2ステージ】リハビリ期
だんだんうつ病などメンタルヘルス不調の症状が抜け始め、意欲や憂うつな気分が回復してきます。』
今までは考えることすら面倒だった職場のことを意識するようになり、「あの仕事はどうなっているのかな」「残された職場の仲間は大変な思いをしているのだろうな」などの不安を強く感じるようになります。
また、ずっと家にいると罪悪感に駆られ、早く職場復帰(早くリワーク)をしなければと焦り始めるのがこの時期の特徴です。
『【第3ステージ】職場環境調整期(職場復帰準備期(リワーク準備期))
睡眠や覚醒のリズムも整い、まだ気分の波はあるものの、おおむね気分良く過ごすことのできる日が増えてきます。』
職場復帰に向けて(リワークに向けて)の意欲も高まり、主治医からもそろそろ職場復帰が可能(リワークが可能)と診断されます。この段階までくると、職場の上司や人事・労務担当に職場復帰可能の診断書(リワーク可能の診断書)を提出し、職場復帰の日取り(リワークの日取り)や復職後(リワーク後)のスケジュールなどを調整します。ここで会社の協力も得ながら、どのような職場復帰支援プラン(リワークプラン)を練ることができるのかが、再発予防の重要な分岐点となります。
『【第4ステージ】職場復帰後、再発予防期(リワーク後、再発予防期)
職場復帰を果たし(リワークを果たし)、少しずつ仕事量が増加してきます。』
職場復帰当初(リワーク当初)は軽減勤務などが可能な職場もありますが、フルタイム勤務以外の勤務形態が許されない職場もあり、この時期の過ごし方は職場の制度によって大きく異なります。ただし、残業時間の制限など過重労働を防止するための配慮は、ほとんどの職場で受けることができるので、この時期を慎重に乗り切ることで、完全なメンタルヘルス不調の回復が見えてきます。
つまり、うつ病などのメンタルヘルス疾患からの職場復帰を試みる(リワークを試みる)場合に、最初にやるべきことは四つのステージのうち、自分が現在、どのステージにいるのかをしっかりと認識することなのです。そこで、まずは下記のチェックリストで現在の自分のステージを把握してみましょう。
●チェックリスト
◎〔第1ステージ→第2ステージ〕
⇒〇が8個以下なら第1ステージ(要治療期(治療専念期))へ
・自分が信頼できる主治医がいる
・薬の処方が2週間以上変わらず、安定している
・夜の睡眠が十分に取れ、午前中から活動することができる
・日記などの活動記録をつけることができる
・頭痛(頭が痛い)やめまいなど、身体の不調がない
・新聞や雑誌などの活字を読むことが億劫ではない
・入浴や簡単な家事が苦ではない
・食事を取ることができ、体重が安定している
・パソコンやテレビの画面を抵抗なく見ることができる
・職場からの電話に、少し疲れながらも対応することができる
⇒〇が9個以上なら次のチェックリストへ
◎〔第2ステージ→第3ステージ〕
⇒〇が8個以下なら第2ステージ(リハビリ期)へ
・主治医から「職場復帰の許可(リワークの許可)」が出た
・眠気など抗うつ薬の副作用を感じず、飲み忘れることもない
・毎朝、規則正しく、決められた時間に起きることができる
・日記などの文章を書き、自分のメンタルヘルス状態を客観的に把握している
・自分の好きなこと(趣味など)が楽しいと感じることができる
・新聞や雑誌を読んだとき、内容がスムーズに頭に入る
・満員電車や人込みが苦痛ではない
・食事を規則正しい時間においしく食べられる
・仕事に関連するニュースなどを見ても、気持ちが沈まない
・職場からの電話に自然に対応することができる
⇒〇が9個以上なら次のチェックリストへ
◎〔第3ステージ→第4ステージ〕
⇒〇が8個以下なら第3ステージ(職場環境調整期(職場復帰準備期)(職場環境調整期(リワーク準備期)))へ
・産業医や人事・労務担当などから「職場復帰の許可」が出た(「リワークの許可」が出た)
・職場復帰をする日程(リワークをする日程)や職場が決まった
・職場と復職後の職務内容(リワーク後の職務内容)や勤務時間について相談をした
・職場にも相談することができる同僚・上司・保健スタッフができた
・主治医と職場復帰後の治療計画(リワーク後の治療計画)について相談した
・「頑張れ」という言葉をかけられても気持ちが沈まない
・メンタルヘルス障害の原因について、自分なりの考察ができている
・メンタルヘルス障害の再発の兆候や再発予防の方法について理解している
・趣味のために友人に自ら進んで連絡することができる
・家族に自分のメンタルヘルス状態を正直に話すことができる
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。