2016年06月21日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の42回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖主治医の復職(リワーク)診断書 復職可否(リワーク可否)の判定は、85.8%が「患者様の意向に沿う傾向」がある〗
厚生労働省が中央労働災害防止協会(中災防)に委託して作成した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援(リワーク支援)の手引き」(以下:「復職ガイドライン(リワークガイドライン)」)では、労働者の職場復帰(労働者のリワーク)を5つのステップに分けています。その第2ステップは、「主治医による職場復帰可能(リワーク可能)の判断」です。
この中で、主治医の職場復帰可能性の可否(リワーク可能性の可否)の判断について、以下のように記述されています。
『ただし現状では、主治医による復職診断書(リワーク診断書)の内容は、メンタルヘルス不調の回復程度によって職場復帰の可能性を判断(リワークの可能性を判断)していることが多く、復職可能性の可否の判断(リワーク可能性の可否の判断)はただちにその職場で求められる業務遂行能力までメンタルヘルス不調が回復しているか否かの判断とは限らないことにも留意すべきである。また、労働者や家族の希望が含まれている場合もある。』
この中の、「労働者や家族の希望が含まれている場合もある。」というのは、具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか?簡単に解説しましょう。
日本職業・災害医学会会誌(Vol 53)に、「メンタルヘルス不全者の職場復帰支援に関する(リワーク支援に関する)調査研究」と題する記事が掲載されています。この記事は、関西労災病院心療内科・精神科による「事業場外資源(精神科医・心療内科医など)への質問紙調査」の結果を取りまとめたものです。
職場復帰支援に関する調査(リワーク支援に関する調査)の目的は、
『メンタルヘルス不全者の職場復帰は極めて困難(リワークは極めて困難)な問題を抱えている。第一に、職場復帰判定(リワーク判定)が客観的基準を持たず、第二に、メンタルヘルス不全は完全治癒が少なく寛解状態での復職が多い事(リワークが多い事)が予想される。本研究はこれら諸問題の実態を明らかにする事を目的としている。』
とされています。
復職支援に関する調査の対象(リワーク支援に関する調査の対象)と方法については、
『メンタルヘルス専門医(心療内科医・精神科医)を対象とし、合計846名から回答を得た。』
となっています。かなり規模の大きい調査だと言えます。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。