2016年06月03日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の30回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】とはいうものの、これだけメンタルヘルス不調による休職者が増えてきますと、職場復帰(リワーク)に当っては、企業には一定の配慮が求められると考えられます。フルタイム勤務しか認めないということで復職のハードル(リワークのハードル)が高くなり、復職が困難(リワークが困難)になるようなケースでは、労働者から短時間勤務を求められて、トラブルに発展することも考えられます。また、無理にフルタイム勤務させたことでメンタルヘルス疾病が再発した場合には、企業の安全配慮義務違反が問われる可能性もありえます。
「慣らし出勤」で短時間勤務を行う場合、その間の賃金をどうするかという問題があります。フルタイム勤務したものとして取り扱う場合には問題はありません。一方、賃金を時間給に換算して、就労時間に応じて支払う場合には、労働条件の変更に当りますので、労働者との合意が必要です。職場復帰プラン(リワークプラン)(個々の労働者の状況に即した個別の職場復帰計画(リワーク計画))の中で賃金についての説明を行い、労働者の署名を貰うなどの対応を行っておく必要があります。
職場復帰後(リワーク後)に、仕事のパフォーマンスが低下したことを理由として賃金を引き下げることができるでしょうか。職場復帰後の職務(リワーク後の職務)が、適宜判断を有する業務から単純な反復業務などに変更となった場合については、労働者と合意の上で賃金を引き下げることができます。但し、一度に大幅に賃金を引き下げることは、権利の濫用として無効とされることもある、とされています。(メンタルヘルス不調者の復職支援(リワーク支援)マニュアル:難波克行・向井蘭)
「慣らし出勤」を含めた「職場復帰後における(リワーク後における)就業上の配慮」について、「職場復帰支援の手引き(リワーク支援の手引き)」(復職ガイドライン(リワークガイドライン))では、以下のような例が挙げられています。これらについても、あくまで義務ではありませんが、企業の社会的責任(CSR)という観点から一定の配慮が求められていると考えて良いのではないでしょうか。
『○短時間勤務
○軽作業や定型業務への従事
○残業・深夜業務の禁止
○出張制限(顧客との交渉・トラブル処理などの出張、宿泊をともなう出張などの制限)
○交替勤務制限
○業務制限(危険作業、運転業務、高所作業、窓口業務、苦情処理業務等の禁止又は免除)
○フレックスタイム制度の制限又は適用(ケースにより使い分ける。)
○転勤についての配慮』
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。