2016年06月02日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の29回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖「慣らし出勤」制度は、復職(リワーク)した後に有給で行うのが原則〗
メンタルヘルス不調で休職していた労働者が復職可能(リワーク可能)と判断されても、いきなりフルタイム勤務からスタートするのは無理だというのが常識になりつつあります。「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援(リワーク支援)の手引き」(以下「復職ガイドライン(リワークガイドライン)」)では、職場復帰後(リワーク後)における就業上の配慮として、以下の通り述べられています。
『イ 職場復帰後における(リワーク後における)就業上の配慮
数か月にわたって休業していた労働者に、いきなり発病前と同じ質、量の仕事を期待することには無理がある。また、うつ病などでは、メンタルヘルス不調の回復過程においてもメンタルヘルスの状態に波があることも事実である。
このため、休業期間を短縮したり、円滑な職場復帰(円滑なリワーク)のためにも、職場復帰後の労働負荷(リワーク後の労働負荷)を軽減し、段階的に元へ戻す等の配慮は重要な復職支援対策(リワーク支援対策)となる。』
職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)(企業としての職場復帰支援(企業としてのリワーク支援)の基本的な枠組み)を作成する場合には、一定期間の短時間勤務を経て、フルタイム勤務(残業なし)、フルタイム勤務(一定時間の残業)、通常勤務、と段階的に移行する復職支援プログラムを作成(リワークプログラムを作成)することが一般的です。この短時間勤務を「慣らし出勤」と呼びます。企業によっては、「リハビリ出勤」とか「試し出勤」と呼んだりする場合もあるので注意が必要です。職場復帰後に行う(リワーク後に行う)短時間勤務ですので、有給で行うのが原則です。
企業によっては、復職前(リワーク前)(休職中)に短時間勤務を想定した「試し出勤」を行い、その後に復職可否(リワーク可否)の判定。復職可(リワーク可)となったら「慣らし出勤」からスタート、といった職場復帰支援プログラムを規定(リワークプログラムを規定)している場合もあります。「試し勤務」なしで、「慣らし勤務」から復職をスタート(リワークをスタート)する職場復帰支援プログラムもあります(リワークプログラムもあります)。
「慣らし出勤」制度を必ず設けなければならないか。つまり、短時間勤務制度を整備することは企業の義務なのかという点ですが、結論からいうと企業に義務はありません。「職場復帰はフルタイム勤務(リワークはフルタイム勤務)できることを原則とする」という休職・復職の規定(リワークの規定)を就業規則に定めている会社もあります。「職場復帰支援の手引き(リワーク支援の手引き)」はあくまで「手引き」です。第一、休職制度そのものが労働基準法等の規定がありません。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。