職場のメンタルヘルス(その49) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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職場のメンタルヘルス(その49)

2019年11月21日 

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の49回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅩⅩⅤ)
◎産業精神保健活動(産業メンタルヘルス活動)の範囲と優先順位③
多面的なメンタルヘルス評価とそのメンタルヘルス評価に基づくメンタルヘルス支援
⇒産業精神保健活動は、その過程で、個別性を重視(産業メンタルヘルス活動は、その過程で、個別性を重視)しなければならないです。しかし、さまざまな職場環境(人間関係を含む)下における心理社会的ストレスに関しては、メンタルヘルス基準値の類の導入が困難です。
心理社会的ストレスは、職場や仕事に関するものに限っても、仕事の量、質、裁量権、人間関係、業務適性など多くのメンタルヘルス因子が絡み合って生じており、ストレス評価の指標は、「A職場よりはB職場のほうが、ストレスが高く職場のストレスによって労働者のメンタルヘルスが脅かされやすい」といった相対的なものにならざるを得ないです。また、あるメンタルヘルス不調者にとっては耐えうる限度のように感じられる作業ストレスが、別の労働者にとっては物足りないようなメンタルヘルス状況があり、そこに画一化したメンタルヘルス基準を持ち込んで作業を規制すると、一部のメンタルヘルス不調者の仕事への熱意を奪うことにつながるといったメンタルヘルス事態が比較的起こりやすいです。
産業精神保健(産業メンタルヘルス)活動においても、一部のメンタルヘルス事項については、一定のメンタルヘルス基準(例:作業別の一連続作業時間の設定、1ヵ月あたりの残業時間の上限)を置くことは有効であり、かつ重要でもあるが、個々のメンタルヘルス不調者へのメンタルヘルス支援にあたっては、多面的で個別性の高いメンタルヘルス評価メンタルヘルス対応が求められることになります。
(もっとも、このメンタルヘルス支援への考え方は、労災認定には直接は適用できないです)。
メンタルヘルス不調は、メンタルヘルス不調者の労働観とも深く関連しています。同等の作業ストレスであっても、その仕事にやりがいや生きがいを感じて前向きに取り組んでいる労働者と、仕事は生活の糧と割り切り、別の事柄に喜びを見出しているメンタルヘルス不調者とでは、ストレスの大きさが異なることは自明です。また、以前は自ら望んでストレスの大きい仕事に取り組んでいた労働者が、自分自身あるいは親族などにメンタルヘルス問題が生じたことを機に、メンタルヘルス不調を来すようになり、ストレスの大きい仕事を回避するようになることも少なくないです。職場や仕事によるストレスと、そのストレスによるメンタルヘルス障害のリスク、職場適応は、人によって、時間、メンタルヘルス状況によって変動するのです。
「ILO労働者のメンタルヘルスサーベイランスのための技術・倫理ガイドライン」は、労働者の就業適性に関して、表1のような考え方を示しています。産業保健職などのメンタルヘルス職には、この点をよく理解し、当該メンタルヘルス不調者や職場に関するメンタルヘルス情報の刷新に心がけることも求められます。
◇表1 「ILO労働者のメンタルヘルスサーベイランスのための技術・倫理ガイドライン」における職業適性の考え方
『・普遍的に適性があるメンタルヘルス状態や絶対的に適性がないメンタルヘルス状態は存在しないこと
・ある時点の特定の仕事への就業適性のみメンタルヘルス判断できること
メンタルヘルス障害による機能障害過大にメンタルヘルス評価してはならないこと
メンタルヘルス不調者の適応力メンタルヘルス不調者の知性過小にメンタルヘルス評価してはならないこと
・適性のメンタルヘルス基準を設定することは過剰な簡素化につながること』
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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