職場のメンタルヘルス(その23) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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職場のメンタルヘルス(その23)

2019年09月09日 

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の23回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(Ⅸ)
メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)紹介で気をつけたいこと~
産業医をはじめとする産業保健スタッフなどメンタルヘルス専門スタッフが勤労者のメンタルヘルス不調を疑ったとき、メンタルヘルス不調への早期対応としてメンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)の紹介を検討することになります。その際、メンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)への受診勧奨程度の紹介のしかたでは生きた橋渡しにはならないです。紹介されたメンタルヘルス専門医師心療内科医師・精神科医師)は、当該メンタルヘルス不調者の職場での立場やメンタルヘルス問題などのメンタルヘルス情報は持っていないです。その後の双方向性、随時性、連続性といった有機的な連携を目指すのであれば、こうした職場でのメンタルヘルス情報も効率よく伝える工夫が必要です。ここではメンタルヘルス科専門医紹介で気をつけるポイントを述べたいです。
■産業医業務の現状
⇒かつて産業医の学術研修活動の充実などを目的とした「サンユー会」という専属産業医の研究会がありました。会員数は全国の専属産業医が700名あまりの大きな会だったが、多分に漏れず経済的不況の影響もあり運用継続が困難となり2009(平成21)年3月に散会となりました。散会前の会員アンケート調査が示すように産業医が感じる重点業務がメンタルヘルス対策であることが示唆されました。これらは専属産業医、つまり大手企業のメンタルヘルス状況調査です。大手企業では産業医のサポートとしてメンタルヘルス科専門医が定期的に訪問職場のメンタルヘルス問題に対応しているところが増えています。一方、わが国の大半を占める中小規模事業場の嘱託産業医によるメンタルヘルス活動では、嘱託訪問の時間的な問題も重なり、そこまでのメンタルヘルス活動体制は整っていないです。そのためメンタルヘルス対策にはなおさら苦労しているのが実態です。
メンタルヘルス科専門医の現状
メンタルヘルス科専門医の業務は当然ながら日々メンタルヘルス不調者と向き合うことによってメンタルヘルス科診療をしています。しかしながら、悲しいかな事業場内でのメンタルヘルス科専門医の評判は必ずしもよくないです。心を見透かされている気がする、などという神話もいまだに存在するものの、職場の管理者などからは「〈復職可能リワーク可能)〉の診断書が出て、メンタルヘルス不調者本人に会ってみたがよくなっているように思えない」というようなつぶやきも聞きます。悪評のメンタルヘルス科専門医というのはメンタルヘルス科専門医自身にも非常に残念であり、自戒を込めてメンタルヘルス科専門的知見有するメンタルヘルス科専門医メンタルヘルス科専門外の人間にわかりやすく説明する責任を十分には果たしてこられなかった可能性もあり、この実態を真摯に受け止めるべきでしょう。しかし、ここにはほかにもさまざまな問題が潜んでいます。
一般にメンタルヘルス科専門医は、メンタルヘルス不調者の職場での立場、業務内容、責任、メンタルヘルス症状による周囲への影響などのメンタルヘルス実態情報は持っていないです。これは実はメンタルヘルス科専門医に限ったことではなく内科医、外科医も然りであるが、昨今職場のメンタルヘルス対策の重要性が注目されることにより、浮き彫りになってきたという背景もあるでしょう。多くの事業場では休職者の大半がメンタルヘルス疾患罹患者であるため、結果的にメンタルヘルス科専門的知見を持っているメンタルヘルス科専門医を頼らざるを得ない現状もあります。
日本精神神経科診療所協会や日本精神科病院協会の会員を対象に行った「メンタルヘルス科専門医が感じるうつ病休職者復職時リワーク時)や復職後リワーク後)に困ること』」の調査結果の一部によると、これは復職判断リワーク判断)に関する調査であるが、メンタルヘルス科専門医としても職場とのコミュニケーション不足を認識している様子がうかがえます。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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